25/03/31
オールオン4は上顎だけでも治療できる?費用やメリット、リスクを解説
『オールオン4は長持ちするのかな』
『治療費用は高額だけど、10年後、20年後も問題なく使えるの?』
『メンテナンスをしっかりすれば、一生使えると聞いたけど本当?』
オールオン4による治療を検討されている方にとって、その寿命や長期的な経過は最も気になる点の一つです。治療費用も決して安くないため、10年後、20年後の状態について不安を感じていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。
オールオン4は、適切なケアと定期的なメンテナンスを行うことで長期的に使用できる治療法です。しかし、インプラント体と人工歯それぞれに寿命があり、また口腔内の状態によっても経過は大きく変わってきます。
そこでこのページでは、オールオン4の平均寿命や10年後の状態、長く使い続けるためのメンテナンス方法について、インプラント治療を専門としている奈良県のLOHASデンタルクリニック院長の福居が詳しく解説します。
目次
オールオン4の寿命に関しては様々な論文や研究がなされており、論文によっては10〜18年のフォローアップの中でインプラントも上部構造物も生存率は90%を超えていたという報告があります。
とはいえ、患者様にもよくご質問をいただく「オールオン4の寿命」ですが、実はこれはとてもお答えのしづらいご質問なのです。
なぜなら私たち歯科医師がよく読んでいる論文の中ではインプラントの寿命に関しては、以下2つの数値を参考にします。
この異なるふたつの確率についての詳細はまた別の機会にご説明することとして、今回はよく用いられる”生存率”、つまり「オールオン4がお口の中で喪失する(脱落して失われる)ことなく機能し続ける確率」でご説明をしていければと思います。
オールオン4をはじめとする”オールオンX”のコンセプトの治療では大きく分けて以下の二つのパーツに分かれています。
全てのインプラントが連結される治療であるため、このどちらにエラーが起きるかについてはとても重要になります。
インプラント体に起こるトラブルとして考えられることとしては以下のことが挙げられます。
これらのことが発生してしまうと、上部構造物を含めて再治療が必要になってしまいます。
上部構造物に起こるトラブルとして考えられることとしては以下のことが挙げられます。
これらのことが発生すると、インプラント体が問題なければ上部構造物だけの再作製が必要になります。
10年後の生存率や状態などについては、患者様それぞれのお口の中の状態に左右されてしまいますので一概には難しいですが、適切な患者様に対して適切な治療ステップを踏んで行われたオールオン4治療は長期間にわたり機能する事が可能だと考えております。
オールオン4の生存率については、論文によって結果にばらつきがありますが、10年間のフォローアップ期間で70%〜95%ほどだったと言われています。
特に上顎と下顎を比較すると、下顎の硬い骨にオールオン4治療を行った方が成功率が高い傾向にあります。
オールオン4治療におけるインプラントの生存率に関しては正確なデータがまだありませんが、一般的なインプラント治療の生存率に関して下記の論文を引用しています。
この研究は2019年にイギリスのオックスフォード大学のMark Staven Howe先生らが行なった研究結果で、この論文の内容を要約すると、インプラントが埋入されて10年経過した口腔内を確認すると、インプラントがどのくらい残っているか、トラブルが起きていないかを調査した論文になります。
この論文の結果は96.4%のインプラントが口腔内に残っていたという結果でした。
また、イタリアのトリノ大学のMario Roccuzzo先生らが2022年に報告した研究結果では、インプラントが埋入されて20年経過した口腔内を確認すると、93%のインプラントが口腔内に残っていたという結果でした。
つまり、現代のインプラントの品質であれば、きちんと埋入されたインプラントであれば15年くらいは大半は残っていたという結果になります。
オールオン4の寿命を縮めてしまう要因には大きく分けて二つ挙げられます
オールオン4治療において最も大切なのは、治療計画になります。
4本のインプラントの柱で全ての歯(14本分)を支えなければいけないので、インプラントの位置はとても大切です。
具体的には、4本の柱を繋いだ面積をできる限り広くする必要があるため、前方のインプラントと後方のインプラントの距離が大切と言われています。
専門用語では”A(Anterior:前方)-P(Posterior:後方) spread(距離)”と呼ばれており、この距離がしっかりと取れる部位にインプラントを配置しなければ、咬合力に耐えることはできません。
ただ、この理想的な位置にインプラントが埋入できるかどうかは、この歯肉の下に骨がきちんとあるかが大切になります。
不適切な位置にインプラントが埋入されてしまうと、せっかくオールオン4をしたのにも関わらず、機能的にも審美的にも満足の得られない結果になってしまうため、術前の治療計画が非常に大切になります。
オールオン4治療で次に重要な要素はいかにきちんと歯磨きを行い、インプラント周囲を清潔な状態に保つことができるかになります。
インプラントで一番恐れているものは”プラーク(歯垢)”です。インプラント周囲のプラークをきちんと清掃し、歯茎に炎症が起こらないような状態を維持しなければ、とても恐ろしいインプラント周囲炎になってしまいます。
一旦インプラント周囲炎が発症し、周りの骨が溶けてしまうと、その部分の骨が再生することはほぼありません。
ただ、このインプラント周囲の清掃性に関しては、決して患者様だけに責任があるとは私は考えておらず、きちんと説明やブラッシング指導のできていない歯科医師側にも大きな責任があると思います。
患者様ご自身でも清掃のしやすい上部構造物の形を考えて、きちんとブラッシング指導を行い、定期的なメインテナンスでインプラント周囲炎の予兆がないかを見極めるのも歯科医院の責任となります。
まずはきちんとした治療計画を立てることが大切です。
機能性や審美性、また清掃性などあらゆる面から不安材料のない治療プランを立てていきます。
また、この際には実際にブラッシングの指導を行う歯科衛生士や、上部構造物の作製を担当する歯科技工士とも相談を行いながら、治療計画を考えます。
上記でお伝えしたようにオールオン4治療を進めるに当たっては、インプラントと上部構造物のそれぞれに対してきちんと考える必要があるので、インプラントは安心して使えるメーカーの物を選択肢、上部構造物は汚れが付着しづらく、インプラント周囲炎を起こしにくい素材を選択して、治療を行なっております。
患者様の治療プランはオールオン4だけでなく、様々なプランがあります。
治療プランをご提案する際には、以下のような様々なことを総合的に判断して計画をご提案しています。
ただ、オールオン4治療にこだわりすぎてしまうと、それ以外の治療計画を患者様が知らずに治療が進んでしまうことがあります。
全ての患者様をオールオン4で治療することは構造力学的に不可能であり、
例えば大柄な男性は咬合力が強い傾向にあるため、インプラント4本では支えきれない可能性が高いです。
ですので、インプラント4本では不安がある患者様には6本、8本のインプラントをご提案することもありますし、手が不自由でご自身での歯磨きが難しい患者様には固定式ではなく、取り外し式のインプランオーバーデンチャーをご提案することもございます。
逆に小柄で高齢の女性であれば、咬合力がそこまで強くない傾向にあるため、インプラント4本も支えられる可能性が高いです。
このように全ての患者様をオールオン4治療に無理やり当てはめるのではなく、その患者様にあった治療プランをご提案しております。
患者様にとってはインプラント治療が終わり歯が入るとその時点で治療が終了したように感じてしまいます。しかし、実際にはそこからメインテナンスがスタートして、その良い状態を維持していくという本当のスタートになります。
インプラントはあくまでも異物になるので、インプラントを体内で上手く身体を騙しながら機能させる必要があるため、徹底的なメインテナンスが重要になります。
当院の歯科衛生士はインプラント治療のトレーニングを受けた歯科衛生士が担当しております。
インプラントは歯と似ていますが、メインテナンスをするための器具は異なります。具体的には歯の歯石を取る器械をインプラントにも使ってしまうとインプラント表面にダメージを与えてしまいます。このように歯とは違う考え方をしなければならないのもインプラントの特徴です。
また特にオールオン4の患者様に関しては、1本〜2本のインプラント治療と違って特別なメインテナンスが必要になります。年に1回は上部構造物を外してインプラントに炎症が起きていないかの確認も重要だと思っております。
一年に数回、クリニックに来て頂いて綺麗な状態に戻したとしても一番大切なのは患者様の日々のブラッシングによるセルフケアになります。
特にオールオン4治療ではこの清掃性が非常に重要になるので、仮歯の状態の時にいかに清掃しやすい上部構造物にするかが今後の予後を分ける肝になります。
患者様のブラッシングの癖や手の自由度などを確認しながら、患者様ご自身でもある程度のセルフケアができるようなインプラントの埋入位置と上部構造物の形態を作ることが非常に大切になります。
歯ぎしりや食いしばりは上部構造物の破損や、インプラント体への過度な負担の原因となると言われています。特に元々のご自身の歯を歯ぎしりや食いしばりで壊してしまった方にとっては対策が必要になります。
この歯ぎしりや食いしばりは元来ストレス発散の行動と言われているため、その行動自体を止めることはできません。ですので、歯ぎしりなどをしてもご自身の歯やインプラントを守れるような対策が必要になります。
一番簡易でできる対策はマウスピースを装着していただき、噛み合わせの力を緩衝させる事になります。
タバコとインプラントの相性が悪いことは、インプラントが日本で普及された頃から研究で証明されており、インプラントを検討した方は一度は耳にしたことがあるかと思います。
残念ながら、インプラント治療後も禁煙できずに喫煙されている患者様もいらっしゃいますが、やはり喫煙されていない患者様と比べると喫煙者の方の方がインプラント関係のトラブルが多いように感じます。
またお酒に関してはある程度嗜むのであれば特に問題はないと言われています。しかし、過度の飲酒になるとアルコールの利尿作用により体内の水分が排出されやすくなり、その結果口腔内が乾燥しやすくなります。
口腔内は乾燥すると細菌が繁殖しやすくなり、歯周病は増悪し易くなってしまいます。また乾燥することで唾液による自浄作用もなくなるので、過度な飲酒は要注意です。
このようにオールオン4治療は一見良いことばかりのように見える治療ですが、実際には全ての患者様に行える治療ではなく、患者様お一人お一人に合うように、インプラントの本数や埋入位置などはよく考えながら治療計画を建てる必要があります。
患者様の体格や年齢、噛む力、骨の状態をしっかりと見極めた上でその患者様にベストな治療プランのご提案ができるように、初診時の無料診断でお口の中の状態をしっかりと把握した上で治療のプランのご提案を行なっております。
オールオン4などに興味があるけれど、インターネットで調べていてもよく分からずお悩みの方は、ぜひ1人で悩まずに一度ご相談をいただければお力になれると思います。お気軽にご相談ください。
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