抜歯と同時にインプラント治療が難しい場合の次の手「歯槽堤保存術」 - 奈良でインプラント専門口腔外科医による治療なら「LOHASデンタルクリニック」

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news/ コラム抜歯と同時にインプラント治療が難しい場合の次の手「歯槽堤保存術」

コラム

抜歯と同時にインプラント治療が難しい場合の次の手「歯槽堤保存術」

前回「抜歯即時インプラント」についてのお話をしました。

歯を抜くと同時にインプラントの埋入手術をすることで、治療期間も短くする事ができて、治療費用も抑える事ができるというお話でした。

しかし、この治療方法は抜歯になった部分にある程度の骨が残っていることが前提となります。

抜歯即時インプラントができないこともある

例えば、歯周病などで大幅に骨が吸収されていると、同時にインプラントの埋入をしようとしてもインプラントが固定できるだけの骨が足りない場合があります。
すると、無理にインプラントを同時に入れた場合、インプラントが骨と結合せず、失敗に終わる可能性があります。

では、どうすれば良いでしょうか?

歯を抜くと骨や歯茎は周囲に吸収されて、どんどん少なくなってしまいます。
そして、骨や歯茎が少なくなると、治った後のインプラント治療がより難しくなります。

骨が足りないときは歯槽堤保存術!

「歯槽堤保存術」とは少しでも周りの組織が吸収されることを予防する方法です。

「ソケットプリザベーション」や「リッジプリザベーション」と呼ばれる術式です。

治療方法としては歯を抜いてできた穴に人工の骨を入れて人工の膜で蓋をし、治癒させることで歯茎と骨が吸収することを最小限に抑えるというものです。

この治療を行うことで完全に骨の吸収を抑制できるわけではありませんが、歯を抜いて何もせずに自然に治るのを待つよりは吸収量を抑えられると言われています。

歯槽堤保存術の弱点

ただ、この治療はデメリットもあります。

①保険治療ではできない

この処置は基本的には歯の抜歯と歯槽堤保存術を同時に行う処置になります。
抜歯は健康保険でできる治療ですが、歯槽堤保存術は自費診療となります。

しかし、健康保険のルール上、保険外診療と健康保険診療を同時に行うことはルール違反となります。

よって、歯槽堤保存術を行う際には抜歯も含めて自費診療で行う必要があります。

②治療結果が不安定

抜歯する歯の周りの骨の吸収具合などによって、保存できる骨や歯茎の量は左右されます。
状況によってはこの処置を行なっても、インプラント手術の際には追加で骨を作る処置が必要となる可能性があります。

③治療プランが決まっていないとやり辛い

歯を抜いた後の治療がインプラント治療に決まっているなら、この治療を行う価値はあると思います。

しかし、入れ歯やブリッジにする方でも骨が凹んでいない方が、清掃性の良い状態にできるのでメリットはありますが、インプラントをされる方ほどのメリットを患者様が感じられることは少ないかもしれません。

きちんと計画されていれば非常に有効な治療法です!

このように健康保険のルールなどで少し複雑になる治療法になりますが、少しでもご自身の骨や歯茎を保存する方法としては十分な価値のある治療法になります。

行き当たりばったりの治療でなく、きちんと計画を立てて進めていくことで、この治療法がとても有効となります。

歯を抜かなければならない方、同時にインプラント治療はできないと言われた方は、
歯を抜いてしまう前に一度立ち止まっていただき「歯槽堤保存術」について考えて頂いてから抜歯されることをお勧めします。

監修者情報

福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し、若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。

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