24/11/19
入れ歯とインプラント治療の違いは?併用する治療法や費用についても解説
近年、インプラントを用いた歯科治療は確立され、臨床的な結果もとても良く、一昔前のようなネガティブな印象を持たれることも無くなりました。そのため、歯を失ってしまった際の治療の第一選択肢としてインプラントが選ばれることも増えてきているように感じます。
そんなインプラント治療ですが
「金属アレルギーだとインプラント治療を受けられないですか?」
「インプラント治療後に金属アレルギーを発症することはありませんか?」
などといった不安をお持ちの患者様は非常に多いです。
実際に奈良県でインプラント治療を専門的に行っている当院にも、金属アレルギーのご不安を抱えた患者様がご来院されることは少なくありません。
そこでこのページでは、金属アレルギーとインプラントの関係について、インプラント治療を専門としているLOHASデンタルクリニック院長の福居が解説します。
目次
金属アレルギーとは、花粉症などの1型アレルギー(接触してすぐに症状が出る即時型)とは異なり、4型アレルギー(遅延型)に分類され、すぐに症状が出るアレルギーではありません。
身近なものの中には、金属のアクセサリーが汗と反応してしまい皮膚が荒れてしまう「アレルギー性皮膚炎」が挙げられます。金属の中でも様々な種類があり、汗や唾液と接触すると金属イオンが溶け出しやすい金属(ニッケル、コバルト、クロムなど)や溶け出しにくい金属(金や白金)に大別されます。
つまり、このイオンが溶け出しやすい金属を使っているアクセサリーなどを身につけたまま汗をかくと、金属が溶け出してしまい、皮膚に接触すると皮膚炎を起こす原因となります。
一般的にはこの溶け出しやすい金属とは、比較的安価な金属のことで、高価な純金のネックレスでは滅多にアレルギーは発症しません。
それでは歯科における金属アレルギーとは一体どのようなものなのでしょうか。下記で解説していきます。
歯科金属アレルギーで最も一般的なものは銀歯による金属アレルギーになります。歯科の健康保険の治療に用いられる金属には、水銀を含むアマルガムや金銀パラジウム合金が挙げられます。
アマルガムは1970年代まで一般的に用いられていた歯科金属ですが、水銀が含まれており様々な健康被害の報告があります。現在ではイギリスやスウェーデンなどではアマルガムの使用を禁止していますが、日本では現在でも使用は認められています。そして以前にアマルガムを充填されていて今でもお口の中に残っている方はたくさんいらっしゃいます。
また、現在一般的に銀歯に用いられて金銀パラジウム合金は金・銀・パラジウムのほかにイリジウムなどが含まれている合金になります。
この中に含まれるパラジウムがアレルギーの原因となることが多く、ドイツやスウェーデンなどの医療先進国ではこの合金の使用を禁止しています。
日本でもこれらの金属代の高騰などが原因で、プラスチックを用いた健康保険治療(コンポジットレジンやPEEK材と呼ばれる樹脂)などが導入され始めていますが、材料の耐久性などを考えた時にはセラミックなどには残念ながら及びません。
歯科金属によるアレルギーが発症すると銀歯の装着されている周りの歯茎や内頬の粘膜、舌が腫れたり白く変色するなどの症状を起こします。
また銀歯の接触する局所だけでなく全身的にも症状が出る可能性も指摘されています。
アレルギーの有無を確認するためには、パッチテストを行い、それぞれの金属にアレルギーがないかを確認することになります。
金属アレルギーがどこまで全身の不調に影響しているかについて、相関関係をはっきりとさせることが難しい場合がありますが、日本で現在使われている金銀パラジウム合金やアマルガムを禁止している国があることが事実です。
ですので、できれば唾液に溶け出しやすい金属を使った治療は避けた方が身体のためには安心だと考えられます。
金属アレルギーをお持ちの方、金属アレルギーが心配な方も、基本的にはインプラント治療を受けていただけます。
その理由は以下のとおりです。
先ほどもご説明したように金属の中でもアレルギーを起こしやすい金属と起こしにくい金属があります。その中でもインプラント治療に使われるチタンは生体親和性の高い金属(身体と馴染みが良い)として医療で良く使われています。具体的には人工関節や骨折の時に用いられるネジ、人工心臓などにチタンが使われています。
歯科のインプラント治療の後に装着される歯の部分に関してはセラミックを素材とした被せ物が用いられることが多いため、より金属アレルギーの心配は不要になります。
論文などを紐解くと、わずかではありますがインプラント治療後に金属アレルギーを発症したという報告はあります。
局所的に起こる金属アレルギーは汗や唾液に反応した金属が皮膚と通して(経皮感作)アレルギー反応を起こします。銀歯の入っている部分の歯茎や内頬が荒れる場合は接触している部分の皮膚や粘膜を通して局所的な皮膚炎が起こっていると考えられます。
一方で全身的に起こる場合は、銀歯から金属が溶け出して、体に蓄積されていきます。この蓄積されたアレルギー物質が、ある一定量を超えるとアレルギー症状として発症します。
このようなプロセスでアレルギーが発症するため、銀歯と接していない掌や足の裏に水疱が形成されるような掌蹠膿疱症と呼ばれる疾患が発症します。
口腔内は常に唾液などの水分で潤っているため、アレルギーを起こしやすい環境と考える事ができます。
インプラントの人工歯根はチタンでできており、チタンはアレルギーを引き起こしにくい金属として様々な医療分野で使われていますが、チタンにその他の金属を混合させたチタン合金を使用している場合は、合金に対して金属アレルギーを発症してしまう場合があります。
上記で説明したように基本的には金属アレルギーがあったとしてもインプラント治療は可能ですが、稀にチタンに対して金属アレルギーを発症するケースもあります。
これは使われているチタンが純チタンか、もしくはチタン合金かによって分かれます。チタンの強度を強くする目的などで合金が開発されていますが、この混ぜられた金属にアレルギー反応が出る場合もあります。また中にはそもそもチタンアレルギーの方も1%〜6%ほどいらっしゃるという研究結果も出ています。
具体的な症状としては、お口の中の粘膜が荒れる、口内炎ができる、口腔扁平苔癬と呼ばれる白い帯状の病気が頬粘膜にできる、手や足に水疱ができるなど様々な症状があるようです。
またインプラントと骨が結合しなかったという報告もあります。
一方、インプラン治療をすでに終えている患者様の中には、チタンアレルギーが検出されたが、実際には何も症状が出なかったなど、様々のようです。
金属アレルギーをお持ちの方や、金属アレルギーを発症しないか不安な方は、以下の点に注意してください。
チタン合金に含まれるチタン以外の金属にアレルギーを発症する可能性があるため、純チタン性のインプラント体を用いることでアレルギーを避けられる可能性があります。
当院で導入しているインプラント体は、純チタン性のインプラントを取り扱っているブランドのものを使用しております。
インプラント治療の予備検査として治療前にパッチテストを行うことで、アレルギーの有無を確認することができます。
ただ、このパッチテストは汗をかく時期の検査結果は結果が不正確なことがあるため、秋〜春ごろに行うことが一般的になります。
ジルコニアはチタンと同様で、ヒトの骨と結合することから2000年代に入ってから歯科インプラントとして応用されるようになりました。このジルコニアは歯科だけでなく、整形外科領域の人工関節などでも使われるようになってきています。
ジルコニアにもチタンにもそれぞれのメリット・デメリットが存在するため、それぞれを生かした治療計画を立てる事が非常に大切になります。
ジルコニアは金属ではないため、金属アレルギーのリスクがチタンインプラントと比較すると更に低くなります。
ジルコニアインプラントを埋入する際には、インプラントを入れる穴を空ける工程でもジルコニア製のバーを用いてドリリングを行うため、チタンの細かい粒子が紛れる事がありません。
チタンインプラントは骨との結合を強固にするために表面をザラザラにする加工が施されています。この加工は骨との接着面積を広くする一方で、一旦口腔内に露出するとその表面にはプラークや食べかすが付着しやすくなり、インプラント周囲が不潔になりやすくなってしまいます。その点、ジルコニアインプラントの表面は滑沢なので、汚れが付着しづらくなります。
つまりインプラント周囲の炎症を引き起こしづらく、周囲炎のリスクが低くなるというメリットがあります。
国内での認可が降りていないため、ジルコニアインプラントが可能なクリニックは非常に少ないです。また、チタンインプラントと比較すると実績が少ないため、症例を選ぶ際には非常に慎重な判断が求められます。
インプラント体自体の強度を比較すると、チタンインプラントとジルコニアインプラントではチタンインプラントの方が破折をしづらいという研究結果があります。
当院でもチタンアレルギーの方に対してはジルコニアインプラントを用いた治療も行っております。
チタンインプラント、ジルコニアインプラントにそれぞれメリットやデメリットがあるため、その患者様のアレルギー検査の結果や適応になるかを見極めた上で、治療計画をご提案しております。
チタンインプラントと比較して実績の少ないジルコニアインプラントを使用するだけの恩恵が患者様にある場合にのみ用いております。
ネックレスなどで皮膚が荒れやすいことで、ご自身に金属アレルギーがあると感じてらっしゃる方は当院にも良くいらっしゃいますが、お口の中を拝見するといくつか銀歯が入っていて、問題なく機能していることが大半です。
つまり、金属アレルギーは直ぐにアレルギー反応が出ずに、身体に蓄積される遅延型のため、実際にその患者様に金属アレルギーがあるかどうかははっきりとしないことが大半です。
インプラント体に用いられるチタンは身体との馴染みが良い金属であるため、チタンにアレルギーのある患者様は本当に少ないと思いますが、もしもインプラント治療を検討されていて、アレルギーに不安を感じられる患者様は皮膚科などでパッチテストなどのアレルギー検査を受けられることをお勧めします。
万が一、チタンにアレルギーがある場合でも、ジルコニアインプラントという選択肢もありますので、インプラント治療を諦める必要はないと思います。
ただ、ジルコニアインプラントはチタンインプラントと比較すると実績が少ないインプラントになるので、取り扱っている歯科医院も限られます。
インプラント治療は、現在では様々なクリニックで日常的に行われている治療ですが、金属アレルギーの知識や、インプラントを長持ちさせるための技術などとても難易度の高い治療法になります。また、曖昧な知識や技術で治療を提供しているクリニックがあることも事実です。
LOHASデンタルクリニックはインプラントに特化した専門医院ですので、きちんとした知識の上で清潔な環境で安全な治療を提供しております。
インターネットでも色々な情報が散見されますが、良いことしか記載されていないことが大半なので、1人で悩みを抱えずに、ご気軽に当院にご相談いただければ、患者様のお悩みを一緒に解決する事ができます。当院では無料相談を行なっておりますので、ぜひ一度ご連絡ください。
福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。
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