インプラント埋入後は、インプラント独自の疾患「インプラント周囲炎」を発症するリスクがあります。インプラント周囲炎は、ひどく進行するとせっかく埋入したインプラントが抜け落ちてしまう可能性もある怖い疾患です。そのため、インプラント周囲炎になってから治療をするのではなく、インプラント周囲炎にならないために予防することが重要となります。天然歯と同等もしくはそれ以上に丁寧な毎日のブラッシングと歯科での定期的なメンテナンスが欠かせません。

また患者様は頑張って歯磨きをしているのに、歯並びや被せ物の形態が原因で上手く磨けないこともよくあります。患者様がご自身でのお掃除がしやすい環境を作ることも非常に大切だと考えています。

インプラントは、歯ぐきと人工歯の間が特殊な構造をしており、天然歯よりもプラーク（歯垢）がつきやすくなっています。

また、インプラントは人工物で細菌への抵抗力がないため、細菌感染を起こしやすいです。そのため、食後と就寝前には必ず丁寧なブラッシングを行い、常に清潔な口腔環境を保つ必要があります。

ご自宅でのケアを徹底していても、ブラッシングしにくい場所などは、次第に汚れが溜まっていきます。そのため、定期的に歯科で専門的なメンテナンスを受けましょう。

当院でのメンテナンスは、一般的なクリーニングだけでなく、顎骨やインプラントに異常が起きていないかどうかの検査も含みます。専門的なメンテナンスを受けることで長期的にインプラントを安定させることが可能です。

インプラントの健康は、全身の健康とつながっています。糖尿病や骨粗しょう症など骨が弱くなる疾患にかかると、顎骨に埋入しているインプラントも安定されにくくなるのです。

そのため、口腔のケアにとどまらず、全身の健康にまで目を向けて自己管理をする必要があります。長い人生の中で様々な全身的なご病気にかかってしまうことはあります。ですので、患者様の全身の状態を常に把握しながら、時には医科の主治医の先生とご連絡を取りながら、お口の中の環境を守っていきます。