右上6、抜歯即時埋入+サイナスリフト(ラテラルアプローチ) - 奈良でインプラント専門口腔外科医による治療なら「LOHASデンタルクリニック」

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news/ 症例(医師向け)右上6、抜歯即時埋入+サイナスリフト(ラテラルアプローチ)

症例(医師向け)

右上6、抜歯即時埋入+サイナスリフト(ラテラルアプローチ)

大阪府東大阪市の先生にご依頼いただき、出張手術に行ってきました。

手術内容に関して

・右上6、抜歯即時埋入+サイナスリフト(ラテラルアプローチ)

患者様は20代前半の女性の方で、右上6がクラウン下で二次う蝕になっており、脱離して来られました。

右上7は失活歯だったのですが、右上5は生活歯だったため、これ以上削ることは避けたいとのことでインプラントを選択されたそうです。

手術の治療計画

通常であれば抜歯をして治癒を待ったのちに骨造成とインプラント埋入を行うのですが、右上6には根尖病変はなく、アタッチメントロスもありませんでした。

また、患者様の強い希望でお仕事の都合で最短での治療で尚且つなるべく手術の回数を減らしてほしいとのご希望でした。

20代の方にインプラントをするときにはインプラントの長さにとても悩みます。

文献的には8mmでも10mmでも差はないと言われていますが、ソーサライゼーションが起きて年単位で僅かな骨吸収が起きた場合に、この方が高齢者になってもまだ使えるような計画を立てればと思いました。

そこで患者様と相談の上、今回はなるべく長いインプラントを埋入し、今後何年後かに何かトラブルば起きた場合には再度インプラントを入れ直さなければならないことをご理解いただきました。

また顎顔面の成長に伴い、最終補綴後もクラウンとのコンタクトが緩くなることがあることもお伝えし、了解を得ることができました。

そこで今回は右上6抜歯し、中隔をきれいに残して抜歯ができた場合にサイナスリフト(ラテラルアプローチ)を行い、即時インプラント埋入(13mm)とソケットプリザベーションを行いカスタムヒーリングアバットメントをつける計画を立てました。

術前口腔写真
術前CT写真(コロナル)
術前CT写真(サジタル)

なんとか初期固定は取れそうな感じがしました。

まず愛護的な抜歯を行います。中隔を壊さないように分割抜歯を行いました。

抜歯後、中隔を傷つけずに抜歯ができました。

次に切開を加えて、サイナスリフト(ラテラルアプローチ)を行います。

Windowの形成
上顎洞粘膜の剥離後

上顎洞粘膜の穿孔もなく、無事に上顎洞粘膜を剥離・挙上することができました。このときに鼻腔側まできちんと剥離をすることはKey pointになります。

続いて、Xガイドで術前にシミュレーションをしていた通りにドリリングを進めます。

イニシャルドリル後、埋入位置の確認
ドリリング終了後、初期固定を確実に取れるようにunder preparationをしました

ここからまず上顎洞内に骨補填剤を填入します。上顎洞粘膜を保護するために、コラテープを一層引いてBio-Oss (L)を填入します。

Bio-Oss (L)
Windowの骨を戻します

次に抜歯窩にsocket presevationを行いました。Bio-Oss(S)とMiner-Ossを混ぜて填入します。

Socket preservation, Bio-Oss(S)+ Miner-Oss

インプラントを埋入し、初期固定は20Nで埋入が可能でした。埋入深度は抜歯後に若干の骨吸収が起こることも想定して、やや深めに埋入しました。

インプラント埋入、初期固定は20Nでした。

カスタムヒーリングアバットメントをセットし、縫合してスペースを埋め、最後にサージカルパックを貼って手術終了です。

手術終了時の口腔内写真
術直後のCT(コロナル)
術直後のCT(サジタル)

手術に用いたマテリアル

骨補填剤:Bio-Oss (Xeno-graft) Large

Miner-Oss (FDBA Cortical)

メンブレン: コラテープ(Zimmer Dental)

術後経過

術後の経過は良好で創部が開くこともありませんでした。術後のCT画像でも上顎洞炎の所見もありませんでした。サイナスリフト後2週間ほどは剥離した上顎洞粘膜が浮腫を起こすことで、自然口が閉鎖しやすい環境になるので、感染を起こしやすくなります。きちんと感染対策を行い、慎重に経過観察が必要です。

今後の治療計画

創部の経過に問題なければ半年後にCTを撮影し、プロビジョナルの印象のタイミングを図ります。

症例報告等でも見たことのないチャレンジングケースですが、うまくいくことを願っています。

監修者情報

福居 希(医学博士、口腔外科認定医)

大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。

現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し、若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。

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