24/10/09
「根管治療 vs 抜歯してインプラント」どちらを選ぶ?
前回のコラムではその1として”歯の挺出法”についてご説明しました。
本日のコラムでは次の手段として”歯冠長延長術”のご紹介をしていきます。
目次
「挺出法」の時にご説明したように、歯茎よりも少なくとも2mm程度は歯が見えていていないと、綺麗に被せ物を装着することができません。またこの状態で無理やり治療を続けると、歯の破折につながることもあります。
つまり、歯茎に埋まった歯を「引っ張り上げる」もしくは「歯茎や骨を削って周りを下げる」ことによって埋まっている歯がしっかり見える状態にすることが必要になります。
その治療法の中で「歯冠長延長術」は周りの歯茎や骨を整えることによって、歯を歯茎の上まで引き上げることで再度被せ物を入れられる状態にする治療法になります。
この術式はその1でご説明した「歯の挺出法」が使えない場合(歯が動かない)や治療期間を短くしたい時などに使える治療法になります。
被せ物が取れて歯が歯茎よりも下にあり虫歯になっている状態であれば、まずきちんと虫歯を除去していきます。歯にヒビが入ったり、割れたりしていないかを徹底的に確認し、レントゲン写真でも保存可能な状態であることを確認していきます。
歯の周りにバイ菌が付いている状態では、手術を行なっても術後の細菌感染などのリスクも高くなってしまうので、可及的に清潔状態にしていきます。
局所麻酔を行い、歯茎をめくって骨面を整えていきます。この時に歯茎の厚みなども調整することができます。周りの骨よりも歯がしっかりと見えている状態にしていきます。
同時に深い部分に付着している歯石も除去し、綺麗な歯周組織を整えます。
歯肉がしっかりと落ち着くまでは仮歯で経過観察を行います。
歯の中の神経の処置が必要であれば、先に行います。そして歯の土台を作成し、最後にセラミックの被せ物をセットしておしまいです。
歯の挺出法と同様に注意点や適応しない歯もありますので、注意してください。
虫歯を徹底的に除去して、根を引き上げる治療法になるので、相対的に根の長さが短くなり、歯の頭が大きな状態になります。この歯冠と歯根の比率が極端に悪くなると根が支え切れないことになるので、慎重な治療計画が必要になります。
根の解剖学的な状況などによって、複数の根がある歯では歯の股の部分まで引き上げてしまうと、その部分は歯周病が進行しやすくなってしまう可能性があるため、引き上げる距離は歯の状態や形によって限界が決まります。
歯茎をめくって、周囲の骨を整えるなどの外科処置が必要になるので、術後に痛みや軽度の出血、腫脹などが予想されます。外科処置が含まれるため、患者様の全身状態や飲まれているお薬の内容によってリスクが高くなる可能性もあります。
このように深い虫歯で抜歯が必要になった場合でも、上手くいけば歯を保存できる可能性は残されています。
インプラントももちろん良い治療法ですが、天然の歯に勝るものはないので、良い状態で歯が保存できるようであれば残した上で治療計画を立てられればと思っております。
もしも、抜歯でお悩みの方は1人で悩まずに、無料相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。
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