26/10/31
ホワイトニングで知覚過敏になる?しみる・痛い原因といつまで続くか、しみにくくする方法
ある日、ご飯を食べていると
「(ガリっ)ん?歯が取れた?!」
と口の中に違和感を感じて手に取ってみると差し歯が取れてる…
そんなに硬いものを食べていた訳ではないのになと思いつつ、取れた差し歯をもう一度付けてもらおうと歯医者に持っていくと、
「この歯は虫歯が酷いのでもう差し歯を戻すことができませんね、抜歯が必要になると思います。」と言われたあなた。
まさか抜歯になるなんて思っておらず、少しパニックになりつつ次回の抜歯の予約を受付で取って帰ります。
「本当に抜かないとダメなのかな?」
「違う歯医者に行ってみようかな」など
色々と考えながらも、予約して帰ってきたし、今までの歯医者から新しい歯医者を探すのも面倒だし…と色々と悩まれると思います。
今日はそのようなお悩みの患者様に歯を残すチャンスのある治療法をご紹介できればと思います。この方法が全ての患者様に使える訳ではありませんので、ご注意ください。
”挺出法”または”Extrusion (エクストルージョン)”など様々な名称で呼ばれることがあります。
この方法はその歯だけを部分矯正をして、歯茎の上まで引き上げることで再度被せ物を入れられる状態にする治療法になります。
両隣に支えになる歯があるようであれば、この歯の間にワイヤーを橋渡しにして、まず引き上げるための固定源を作ります。引っ張り上げる歯にはフックを接着し、安定した固定源に対して矯正用のゴムを使ってこの歯を引っ張り上げる方法を歯の挺出法と呼びます。

被せ物が取れて歯が歯茎よりも下にあり虫歯になっている状態であれば、まずきちんと虫歯を除去していきます。歯にヒビが入ったり、割れたりしていないかを徹底的に確認し、レントゲン写真でも保存可能な状態であることを確認していきます。
歯茎よりも上に健康な歯が2mm程度なければきちんと被せ物を装着することはできないので、その位置まで引き上げる計画を立てます。
保存可能であることが確認できれば、牽引の準備をしていきます。両隣の歯にワイヤーを渡して、固定源を作り、歯にはフックを接着していきます。そして矯正用のゴムを用いて徐々に引き上げていきます。
ゴムの交換は一週間に1回ずつ交換していき、弱い力で徐々に引き上げていきます。この間にワイヤーが外れたり、ゴムが切れてしまうこともあるので要注意ですが、普通にお食事は取っていただけます。
想定していた位置まで歯が移動してきたら、レントゲン撮影を行い確認を行います。また、このまますぐに次の治療に入ると後戻りを起こすので、しばらくこの状態で固定します。
歯を引き上げるとともに周りの骨も一緒に引き上げられてしまうこともあるので、その場合は少し周りの骨を整える処置を行います。そして歯茎が落ち着けば、被せ物を作る準備をしていきます。
歯を予定したい位置まで引き上げて、保定期間も過ぎればいよいよ被せ物する準備をしていきます。
歯の中の神経の処置が必要であれば、先に行います。そして歯の土台を作成し、最後にセラミックの被せ物をセットしておしまいです。
このように歯を引き上げることで、治療ができる状態に戻すことができる素晴らしい治療法ですが、注意点や適応しない歯もありますので、注意してください。
矯正力をかけて歯を動かすには、”歯根膜”と呼ばれる歯の周りを取り囲んでいる繊維がとても重要になります。ただ、高齢になるに従ってこの歯根膜が萎縮してしまい、薄くなることもあるので、この歯根膜がなくなってしまうと歯の挺出ができないこともあります。
虫歯を徹底的に除去して、根を引き上げる治療法になるので、相対的に根の長さが短くなり、歯の頭が大きな状態になります。この歯冠と歯根の比率が極端に悪くなると根が支え切れないことになるので、慎重な治療計画が必要になります。
根の解剖学的な状況などによって、複数の根がある歯では歯の股の部分まで引き上げてしまうと、その部分は歯周病が進行しやすくなってしまう可能性があるため、引き上げる距離は歯の状態や形によって限界が決まります。


ここからは、実際に当院で歯の挺出術(エクストルージョン)を行った症例をご紹介します。被せ物が外れてご来院され、虫歯が歯ぐきの下まで進んでいた上の奥歯のケースです。


被せ物が外れた状態でご来院されました。歯ぐきの上に出ている歯がほとんど残っておらず、虫歯が歯ぐきの下まで進んでいる状態です。このままでは被せ物のフチを健康な歯の上に設定できないため、他院では抜歯と判断されることもあるケースです。

まず虫歯を徹底的に除去し、根にヒビや割れがないか、レントゲンで根の長さが十分に残っているかを確認します。ここで「残せる歯かどうか」を見極めてから、挺出に進みます。


両隣の歯にワイヤーを橋渡しして固定源をつくり、残っている歯にフックを接着して、矯正用のゴムで少しずつ歯を引き上げていきます。急に動かすと歯や周りの組織に負担がかかるため、時間をかけて動かしていきます。


目標の位置まで引き上げられたら、歯が元に戻らないように固定して安定させます。歯ぐきの上に健康な歯質が出てきたので、ここで歯の土台(コア)をつくり直します。

歯ぐきの状態が落ち着いたことを確認してから、セラミックの被せ物の型取りを行います。被せ物のフチを健康な歯質の上に設定できるため、精度の高い被せ物を入れることができます。



抜歯と言われてもおかしくない状態でしたが、ご自身の歯を残したまま被せ物を入れることができました。歯を引き上げた分だけ根は短くなるため、適応できる歯かどうかの見極めが大切になります。
| 年代・性別 | 50代・女性 |
| 治療内容 | 虫歯の除去、歯の挺出術(エクストルージョン)、歯の土台の再作製、セラミッククラウン(1本) |
| 治療期間 | 4ヶ月 |
| 治療費用 | 165,000円(税込) ※歯の挺出術の費用のみ。別途、根の治療や被せ物(セラミック)の費用がかかります。 |
| 治療のリスク・副作用 | 歯を引き上げる分だけ根が短くなるため、歯の動揺が出ることがあります。挺出後に外科処置を伴う場合は、術後に痛み・腫れ・出血が出ることがあります。治療後もメンテナンスを怠ると歯周病や再発のリスクがあるため、定期的な口腔ケアが必要です。 |
当院はインプラント治療を専門的に行う歯科医院ですが、残せる価値のある歯はできる限り残したいと考えています。抜歯と診断されてお悩みの方は、一度ご相談ください。
このように深い虫歯で抜歯が必要になった場合でも、上手くいけば歯を保存できる可能性は残されています。
インプラントももちろん良い治療法ですが、天然の歯に勝るものはないので、良い状態で歯が保存できるようであれば残した上で治療計画を立てられればと思っております。
もしも、抜歯でお悩みの方は1人で悩まずに、インプラント治療に関する検査・相談(11,000円/税込)を行っておりますので、お気軽にご相談ください。
LOHASデンタルクリニック 院長
福居 希(医学博士/日本口腔外科学会 認定医)
2010年に朝日大学歯学部を卒業後、大阪医科大学附属病院 口腔外科学教室に入局。大学病院・総合病院で口腔外科医として研鑽を積み、2014年にはアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)インプラント科へ留学しました。2017年に大阪医科大学大学院にて医学博士を取得し、顎骨の再生治療を研究テーマとしています。中国中央病院 歯科口腔外科 医長、北大阪ほうせんか病院 歯科口腔外科 部長を経て、2023年に地元・奈良西大寺にてLOHASデンタルクリニックを開業しました。現在は自院での診療に加え、他院からのご依頼による出張手術を担当。スタディーグループ「Surgical Implant Institute」を主宰し、若手歯科医師へインプラント外科の指導も行っています。
本記事は、LOHASデンタルクリニック院長・福居 希(医学博士/日本口腔外科学会 認定医)が執筆・監修しています。記事の内容は診療ガイドラインや学会発表等をもとに作成していますが、症状や適切な治療方針には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず歯科医院にご相談ください。
ご予約・お問い合わせ0742-93-8363
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