26/01/29
50代で奥歯3本の治療には部分入れ歯が最適?噛めない・痛いなどお悩みとインプラントという選択肢

『50代になって奥歯を3本失い、食事が思うように楽しめなくなってきた』
『部分入れ歯を使っているものの、噛みにくい・痛い・外れやすいといった不満が続いている』
『この先も同じ入れ歯で過ごして良いのか、将来が不安になる』
このようなお悩みを抱える50代の方は決して少なくありません。
特に奥歯を複数本失った場合、部分入れ歯だけで支えるにはどうしても限界が生じやすく、噛む力の低下や食事のストレス、残っている歯やあごへの負担といった問題が徐々に積み重なっていきます。
とはいえ、「入れ歯を作り替えるべきか」「今のままでいいのか」「他にどんな方法があるのか」と悩まれる気持ちも当然です。50代は、これからの10〜20年を見据えた治療選択がとても重要になる時期でもあります。
そこでこのページでは、50代で奥歯3本を部分入れ歯にしている方が抱えやすいお悩みや起こりやすい問題点、部分入れ歯を使い続ける場合に知っておくべきポイントについて、奈良県のLOHASデンタルクリニック院長の福居がわかりやすく解説します。
目次

奥歯を失う原因としては虫歯・歯周病・噛み合わせなど様々ありますが、抜歯の原因の1位は歯周病と言われています。
では、歯を1本失ったあとの治療として、日本においてはどのような治療が選択されるでしょうか。
この辺りに奥歯を失ってしまう原因が隠れています。
少し深掘りをしてみたいと思います。
日本における永久歯の抜歯調査を紐解くと、抜歯が増え始めるのは40代に入ってからになります。
特に抜歯になるリスクの高い歯は下顎の第二小臼歯や第一大臼歯が多いと言われています。
その原因は
・第一大臼歯は永久歯の中で萌出が早い。
・第一大臼歯は咬合力が加わりやすい歯である
などが挙げられるようです。
これらが原因で抜歯が必要となった時にどのような治療を選択するかが非常に大切になります。
現代ではインプラントも国民に周知されているため、第一選択としてインプラントを選ばれることも増えてきていますが、日本にインプラントが導入されてまた40年ほどの歴史しかない中で、一昔前の時代はブリッジを選択されることが多かったようです。
ブリッジは非常に優れた治療法ではありますが、弱点が3つあります。
①まずは両隣の歯を削らなければならないという点にあります。健康な歯であったとしてもブリッジを作成するためには歯を一回り以上削らなければならないので、削られてしまった歯は元の状態よりも弱くなってしまいます。
②元々噛む力の加わりやすい奥歯を繋ぐことで、両隣の歯にはかなりの負担を強いることになります。歯の頭3つ分を2本の根で支えるので、支える歯の状態によっては荷重負担となり破折を起こすこともあります。
③3つの歯が繋がることにより、フロスを通すことができなくなります。また被せ物の形態によっては歯磨きが難しくなります。それによって、被せ物との間が虫歯になってしまったり、歯周病になってしまうこともあります。
この結果、ブリッジを支えている歯が抜歯になってしまった結果、一気に3本分の歯がなくなってしまいます。
ブリッジは構造上、両端に支えとなる歯が必要になるので、第二大臼歯や第三大臼歯(親知らず)など一番奥の歯が失われてしまうと、それ以上ブリッジを作ることができなくなります。
つまり40代に入り、1本歯を失い、その後の治療で「ブリッジ」を選択したことにより、10年程度は機能していた後に、ブリッジと支えになっていた歯が壊れてしまった結果、50代に入ったところで義歯をという選択肢しかなくなってしまい、部分入れ歯を作ることになる方が多いです。
固定式のブリッジから取り外し式の部分入れ歯になった途端に「噛めない」と感じるようになってしまいます。なぜなら、咬合力を天然歯と比較すると、ブリッジは約80%の咬合力とあまり大きな違いはないですが、入れ歯になった途端30〜40%にまで低下すると言われています。この結果、患者様は「噛めない」と感じてしまいます。
また入れ歯は残っている歯と歯茎を支えにして機能することが出来ます。
専門医の作製したような適合の素晴らしい義歯であれば、長期間機能することもありますが、そうでない義歯に関しては適合や義歯の設計が甘く、うまく使えないこともよくあります。
入れ歯の適合が悪ければ、入れ歯と歯茎の隙間に硬い食べ物が入ってしまい、歯茎を傷つけてしまい、痛くて噛めなくなってしまいます。
入れ歯の外れやすさは、入れ歯の設計に原因がある場合が多いですが、入れ歯同様に残っている歯に支えてもらいながら維持するものなので、やはり残存歯に負担がかかります。
入れ歯の設計や残存歯の状態によっては結果的に入れ歯が「抜歯装置(残存歯の抜歯を助長する装置)」となってしまうこともあるため、注意が必要です。
1960年代は日本人の平均寿命が65〜70歳でした。つまり50歳をすぎると、人生の残りはあと僅かで、生活の質にはあまり拘らなくなっていたと思います。
しかし、現代は人生100年時代と言われるようになり80歳を過ぎてもお元気な高齢者の方が増えています。つまり、健康寿命を伸ばすことが大切になっています。
入れ歯でも柔らかい食事は食べられますが、身体の幹となるタンパク質(お肉、お魚)などは比較的噛みごたえがあるため、知らず知らずのうちに咀嚼しやすい炭水化物を主に摂ることが増えていきます。
そうすると身体の筋力が衰え、お口だけでなく全身の力が弱っていくようなフレイル(全身の虚弱)に陥ってしまいます。
一度フレイルに陥り、筋力が衰えてしまうと、そこから元の状態に回復することはとても困難になります。ですので、50代に差し掛かり、入れ歯を使ったお食事に限界を感じることのある方は、ぜひ一度インプラント治療が可能なのか、かかりつけの歯科の先生に質問していただいて、60代になっても健康に食事も楽しめることを目標にしていただければと思います。

奥歯3本を失った状態を遊離端欠損とよびます。その部分を入れ歯にした場合、一番奥に入れ歯を支えることのできる歯(支台歯)がないため、入れ歯の安定感は一気に安定感は失われます。
このことが原因で入れ歯の満足度は一気に下がってしまいます。
上記でも述べたように、咬合力は部分入れ歯になった途端30〜40%にまで低下すると言われています。噛む力が低下することにより、お肉や魚、野菜など食べ応えのある食事からあまり噛まなくても食べられるような炭水化物中心の食事となります。
これにより、食事を摂る楽しみが徐々に失われていき、また入れ歯の痛みなどから家族や友人との食事が億劫になっていきます。
入れ歯は残存歯と歯茎で支えられながら機能する装置なので、残っている歯への負担は避けられません。
上手に設計を行うことにより、残存歯と歯肉のそれぞれで圧力を負担することで、残存歯への負担を減らすことは可能ですが、それでも弱っている歯であれば、過剰な負担になってしまうこともあります。
合わない入れ歯を使っていると、歯と歯茎に均等に力を分散することが出来ません。
つまり、歯に負担がかかり過ぎていると、歯が動揺をし始めることもありますし、歯茎にばかり負担がかかっている状態であれば、歯茎が痛くなるもしくは、歯茎の下の骨の吸収を惹起する可能性もあります。

奥歯3本を失ってしまった時のそれぞれの治療法でどれを選択すれば良いのでしょうか。
それぞれの治療法で比較してみます。
部分入れ歯の特徴は比較的身体への負担なく作製することができるという点があります。
ブリッジのように歯を削る必要もないですし、インプラントのように外科手術も不要です。
しかし、入れ歯には限界があり、異物感や噛みづらさ、着脱の億劫さなどが必ずあります。
入れ歯はあくまでも義手や義足と同様に道具になるため、使いこなすためにはある程度慣れも必要になります。
ブリッジ治療は原則的に一番奥の歯が残ってることが求められます。
つまり両端に支える歯(支台歯)がなければ、作製することが出来ません。
一番奥に親知らずが残っていれば、作ることができることもありますが、非常に難易度も高く、長期的に維持することは困難になります。
インプラント治療の特徴はやはり天然の歯と同様の噛み心地を得られる点にあります。
入れ歯と違い着脱の必要はなく、ブリッジの様に他の歯を削る必要もありません。
ただ、インプラント治療が成功するためには骨がしっかりと残っていることが大前提となります。
インプラント治療も無敵ではないので、外科処置が必要であったり、骨が足りなければ治療の適応で無くなるなどもあります。
長期的なメリットとしてはきちんとメインテナンスを受けることで長期間使用することができます。
幾つになってもしっかりと噛んでお食事が摂れることが最大のメリットとなります。
①きちんと検査をして、治療法を担当医と相談する
大半の方は今まで悪くなったところだけを治療する”対症療法”を受けてきています。
50代に差し掛かって、一度立ち止まりお口の人間ドッグのようにしっかりと検査を受けていただき、対症療法ではなく、根本的な原因治療ができるように治療計画を担当医と相談することをお勧めします。
②治療にかかる費用で比較する
それぞれの治療にかかる費用は様々です。特に健康保険の治療と自費診療となると費用は大きく変わります。歯に対する価値観は人それぞれのため、歯科医師はより良いと思われる治療を進めることはできますが、最終的な決定権は患者様にあります。
③治療にかかる期間を検討する
インプラント治療は他の治療と比較すると治療期間が長くなりやすい治療法になります。50代で仕事もお忙しいタイミングでの治療となると、通院期間や回数も大切になります。
具体的に治療を開始した際に、治療のためにどのくらい時間をかけられるかも一つの大切な指標になります。
④セカンドオピニオンを使う
歯科医師の中でもそれぞれ得意な治療は異なります。
かかりつけ歯科の先生が全ての治療が得意であれば良いのですが、そうでない場合は患者様の権利として他の先生のご意見を聞くことができます。
決して失礼な行為ではないので、きちんとご自身が納得してくださる説明を受けていただければと思います。

初めての部分入れ歯であれば、一旦健康保険で部分入れ歯を作っていただいて、使ってみることをお勧めします。「百聞は一見に如かず」なので、実際に部分入れ歯を入れた時の使用感や異物感などを体感された方が良いと思います。
上記でも述べたように義歯は義足や義手の一種なので、作ったものをすぐに使えるわけではありません。
使い慣れていく必要もありますし、着脱のコツなどもあります。
一旦作った入れ歯でどこまでご自身が満足ができるかを体感した上で、それでも異物感や着脱の億劫さが大変であれば、固定式の治療であるブリッジやインプラントを検討していただければ、患者様ご自身でも納得できると思います。
部分入れ歯でも上手く使えそうであれば、その入れ歯をそのまま継続して使用するか、より良い入れ歯(自費診療の入れ歯)に作り替えて、もう少し食事をしやすいものにするかは担当医とよく相談しながら進めていただくのが良いのではないでしょうか。

部分入れ歯以外の治療法として、3本失った状態からのブリッジ治療は支えとなる歯への荷重負担となるため、現実的な治療法はインプラント治療になると思います。
3本の歯の欠損に対して何本のインプラントで対応するかにより治療費用も変わってくるため、よく検討が大切になります。
3本の歯の欠損に対して3本のインプラントを埋入して、天然の歯と同様の状態に治療をすることは可能です。この場合のメリットはそれぞれの被せ物を連結する必要がないため、歯ブラシをフロスを使ってメインテナンスをすることができます。
治療費用はインプラント3本分の費用が必要となります。
インプラントを両端に1本ずつ埋入して、ブリッジの状態で被せ物を3つ繋げて作製する方法もあります。この方法を選ぶメリットはインプラントの本数が2本で済むため、治療費を少し減らすことができます。しかし、3つの歯は連結されているため、歯ブラシとフロスだけでなく、歯間ブラシも使ってのメインテナンスをする必要があります。
治療費用はインプラント2ほんとダミーの歯の費用になるので、インプラント3本と比較するとやや治療費が下がることがあります。
治療費用を最大限抑えるために、入れ歯とインプラントのハイブリット治療があります。
入れ歯が咀嚼のたびに歯茎に食い込んで痛みを感じる場合には入れ歯の下に1本だけインプラントを埋入するという方法があります。
このインプラントが入れ歯の沈下を予防してくれるため、歯茎に食い込むことを防いでくれます。
インプラントの性能の向上に伴い、必要なインプラントの本数は少しずつ減ってきています。
必要最低限、でも万が一トラブルが起きても対応ができる本数を用いての設計をすることが大切になります。
患者様の年齢や体格、口腔内の状態などによって必要と考えられる本数は異なるため、治療に入る前にきちんと治療計画を立てる必要があります。
当院はインプラント専門クリニックであるため、様々な患者様がいらっしゃいます。
インプラント1本を埋入するだけで3ヶ月程度で治療を終えることができる患者様から、1年以上かけて全体的な治療が必要な患者様まで十人十色です。
当院ではそんな患者様それぞれの状況に合った治療をご提案し、少しでもご満足いただき、長期間安心して治療を受けていただける治療計画をご提案するようにしています。
失った歯をインプラントなどを用いて、新たに再建することは非常に大切なことですが、当院では今残っている歯の状態を改善し、これ以上失わないように治療計画をご提案することを重要だと考えています。
そこで当院では様々なレントゲンやCTを撮影し、残存歯の状態から骨の状態までを可視化し、患者様にご説明をしております。
奥歯を失うのには何かしらの根本的な原因が潜んでいます。
それを様々な検査を通して明確化することで、根本的な原因追求をしていき、ご自身の健康な歯を守りながら、歯を失った部分には再建していくための治療計画をご提案していきます。
治療プランは私達歯科医師が決めるものではなく、患者様の経済状況や治療に掛けられる時間などを全て加味しながら、一緒に作り上げていくものだと思っております。
そのため、当院では患者様にご提案する治療プランは2〜3パターンをご提案することが大半です。その中でご相談を進めながら、患者様に合った適切なプランを作っていければと思っております。
当院はインプラント専門歯科医院ですが、患者様のご要望に合わせて入れ歯治療も行っています。
入れ歯治療には限界があり、上顎の入れ歯は安定した外れづらい入れ歯を作ることは比較的容易ですが、下顎の入れ歯は非常に難易度が高くなります。
ですので、入れ歯に関しては入れ歯の作製に特化した歯科技工士と一緒に仕事をして、噛みやすくて違和感の少ない義歯を作製しています。
40代から少しずつ歯を失い始め、仕事や家庭が忙しい中で、あまり歯の治療に時間を掛けられない方も多いと思います。
そんな中で治療期間の短いブリッジを選択することは、決して悪いことではなく、その時できる治療を選択するしかありません。
ただし、上記でも述べたようにブリッジにもデメリットもあり、どこかのタイミングで支えになる歯が悪くなってしまうこともあります。
50代に差し掛かり、もしも時間的・金銭的に少しでも余裕が出てくるようであれば、一度歯の治療に関しては「とりあえずの治療」から立ち止まり、将来的なことも考慮するために全体的に歯の検査を受けることをお勧めします。
そこでご自身の歯を守っていくために、どのような治療が必要なのか、インプラントが何本必要になるのか、また時間的・予算的に納得できる治療プランなのかを担当医の先生とよくご相談いただき、治療プランを決めていただければと思います。

50代で片側の奥歯3本を失うと、かなり食事がしづらくなります。その結果、歯の残っている歯に負担を強いることとなってしまうため、健康な歯を酷使することとなり、最終的には残っている歯が悪くなってしまいます。
こういった「負の連鎖」に入ってしまうと、ドミノ倒し的に歯が徐々に壊れてしまい、最終的には歯を全て失うことになります。
平均寿命が長くなっている現代の世の中において、健康寿命を長くすることが人生を楽しむためには必要不可欠です。この健康寿命と非常に密接に関係している口腔内の健康をどのようにして維持をしていくか、”どのような食事でも美味しく楽しめる”ことがとても大切になります。
成人になり、30代・40代と仕事や家庭で頑張ってきた結果、あまり気にかけることができなかった「お口の健康」を50代できちんと対応をすれば、まだまだ手遅れではありません。
今まで受けてきた「とりあえず」の治療ではなく、20・30年後もきちんと機能をしてくれるような治療を受けていただき、50代以降も美味しく食事をすることができて、健康寿命を延伸し、いつまでも家族でのお食事や外食を楽しんでいただけるようになっていただけると幸いです。

福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。
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