歯を残すための裏技、その6”歯根端切除術” - 奈良でインプラント専門口腔外科医による治療なら「LOHASデンタルクリニック」

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コラム

歯を残すための裏技、その6”歯根端切除術”

今回のシリーズのコラムの最終回は「歯根端切除術」になります。

この治療は、歯の根の治療をしたにも関わらず、根の先に膿が溜まってしまった歯に対して用いる治療法で、前回でご説明した「精密根管治療」と組み合わせることで、より歯を残せる可能性が高くなる治療法になります。

”歯根端切除術”ってなに??なぜ膿が溜るの?

歯の神経の部屋は例えていうなら”トンネル”のようになっています。このトンネルは前歯であれば1本だけのことが多いですが、奥歯になると1本の歯の中にトンネルが3、4本ある場合も有ります。

このようにとても複雑な歯の根のトンネルの状態

この根のトンネル入り口から出口までをさまざまな器具やお薬を使って綺麗にしていくのですが、根の中は目で見えない死角があるので、非常に難しい治療になります。

歯の根のトンネルの清掃の流れ

特に一度治療を受けている歯(以前に歯の神経を除去してお薬が詰められている歯)に関しては特に難易度が高く、トンネルの中の掃除だけでは治癒しないことがあります。

また、長年使っている歯のトンネルは徐々にトンネルの道が細くなっていってしますので、トンネルの出口まで器具が到達できないようなこともあります。

このようにさまざまな条件で根の先端の膿まで綺麗にしきれない場合に「歯根端切除術」を行うことで外から膿を除去することができます。

歯根端切除術の手順

この術式はまず精密根管治療を受けて、きちんとした治療を行い経過観察を行います。それでも根の先端の膿がよく治らない時に行う治療法になります。

①徹底的な虫歯と古いお薬の除去

被せ物が取れて歯が歯茎よりも下にあり虫歯になっている状態であれば、まずきちんと虫歯を除去していきます。歯にヒビが入ったり、割れたりしていないかを徹底的に確認し、レントゲン写真でも保存可能な状態であることを確認していきます。

古いお薬にも汚れが付いているので、しっかりと除去していきます。

②精密根管処置にでお薬を詰める

ラバーダム防湿下できちんと洗浄とお薬交換を行い、トンネル内が綺麗になれば最終的なお薬を緊密に詰めていきます。ここから経過観察を行い(1-2ヶ月)膿の袋の改善がレントゲン写真で確認できるかを診断します。

③歯根端切除術

経過観察を継続しても膿の袋の改善が見られない場合は外科的な歯根端切除術に移行していきます。

局所麻酔を行い、歯茎をめくりバーを用いて骨を削り、膿の袋を外から綺麗にしていきます。そして、細菌に感染している根の先端の部分は切断し、再発しないように処置しておきます。この際に細菌の漏洩を避けるために逆根管充填(根の先端の部分を封鎖する処置)を行います。

歯茎を戻して縫合して手術は終了です。

④治癒を待つ経過観察

歯肉がしっかりと落ち着き、レントゲンでも膿の再発が認めないことを経時的に確認します。

⑤セラミックのセット

歯肉や周りの骨の組織の安定が確認されれば、歯の土台を作成し、最後にセラミックの被せ物をセットしておしまいです。

歯根端切除術の注意点

注意点や適応しない歯もありますので、注意してください。

①歯の根が短くなる(歯冠歯根比が悪くなる)

虫歯を徹底的に除去して、根を切る治療法になるので、根の長さが短くなり、歯の頭が大きな状態になります。この歯冠と歯根の比率が極端に悪くなると根が支え切れないことになるので、慎重な治療計画が必要になります。

②膿の袋が大きすぎると適応できないこともある

膿の袋が大きすぎると歯根端切除術では治癒が難しいこともあります。

③外科的な処置が必要になる

歯茎をめくって、周囲の骨を削って膿の袋を取るなどの外科処置が必要になるので、術後に痛みや軽度の出血、腫脹などが予想されます。外科処置が含まれるため、患者様の全身状態や飲まれているお薬の内容によってリスクが高くなる可能性もあります。

まとめ

このように根の先に膿が溜まってしまった場合でも、複数の治療法を組み合わせることで上手くいけば歯を保存できる可能性は残されています。

インプラントももちろん良い治療法ですが、天然の歯に勝るものはないので、良い状態で歯が保存できるようであれば残した上で治療計画を立てられればと思っております。

もしも、抜歯でお悩みの方は1人で悩まずに、無料相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

監修者情報

福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。

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