26/05/15
差し歯があってもホワイトニングはできる?正しい知識と、口元をきれいにする方法を解説
ホワイトニングコラム

差し歯があると、ホワイトニングは諦めるしかないのでしょうか。
「ホワイトニングをしたいけど、差し歯だけ色が浮いてしまいそうで怖い」「差し歯もいっしょに白くなるの?」そんな疑問や不安を抱えたまま、一歩を踏み出せずにいる方は少なくありません。
結論からお伝えすると、差し歯そのものはホワイトニングで白くすることができません。これは差し歯の素材の特性によるものであり、どのような薬剤を使っても変えられない事実です。
ただし、「差し歯がある=きれいな口元は無理」ということにはなりません。差し歯のある方が口元全体を美しく整えるためのアプローチは、複数あります。大切なのは、正しい知識と順番で治療を計画することです。
この記事では、差し歯にホワイトニングが効かない理由をわかりやすく解説したうえで、差し歯のある方が理想の白い口元を実現するための具体的な方法と治療の流れをご紹介します。
目次

ホワイトニングとは、過酸化水素や過酸化尿素を主成分とする薬剤が、歯のエナメル質の細かな隙間に浸透し、内部に蓄積した色素を分解することで歯を白くする施術です。色素を外から削り取るのではなく、歯の内側から化学的に分解するという点が特徴で、歯科医院で行う本格的なホワイトニングは、この作用によって高い効果を発揮します。
この仕組みが働くのは、あくまでも「天然の歯」に限られます。天然歯は生体組織であり、エナメル質と象牙質という積層構造を持っています。薬剤がその内部にまで浸透できるからこそ、ホワイトニングの効果が生まれます。
一方、差し歯はセラミック・ジルコニア・レジン(プラスチック)などの人工素材で作られています。これらの素材はホワイトニング剤が浸透する構造を持っておらず、薬剤をあてても内部の色素を分解する反応が起きません。そのため、ホワイトニングをおこなっても差し歯の色が変わることはないのです。
「では、施術しても差し歯は何も変わらないの?」と思われるかもしれませんが、表面に付着したコーヒーや紅茶などのステイン(着色汚れ)については、歯科医院でのクリーニングによってある程度除去できる場合があります。ただし、これはあくまで「表面の汚れを落とす」ことであり、差し歯の素材そのものの色を変えることではありません。この違いを正確に把握しておくことが、差し歯のある方がホワイトニングを検討するうえでの最初の大切なステップになります。

「差し歯はホワイトニングで白くならない」と聞くと、口元をきれいにすることを諦めてしまう方もいます。しかし実際には、差し歯のある方が口元全体を美しく整えるための方法はきちんと存在します。
大きく分けると、アプローチは3つあります。「差し歯の色を基準に周囲の天然歯をホワイトニングで合わせる方法」「ホワイトニング後の白さに合わせて差し歯を作り直す方法」「前歯全体を審美補綴として整える方法」です。どの方向が適しているかは、差し歯の素材・状態・ご本人の希望によって変わりますが、それぞれに明確な手順と目的があります。順番に解説します。
差し歯の色そのものを変えることはできませんが、周囲の天然歯の白さを差し歯に近づけることは可能です。この方法では、差し歯の現在の色調を「目指すゴール」として設定し、天然歯をホワイトニングによってどこまで白くするかを調整していきます。
「差し歯の色が思ったより白くて、自分の歯だけ黄ばんで見える」という状況の方に向いています。ホワイトニングで天然歯を差し歯の白さに近づけることで、口元全体に統一感が生まれます。
ただし、この方法を選ぶ場合は、最初のカウンセリングで差し歯の現在の色調を確認し、「どの白さを目標にするか」を歯科医師とすり合わせておくことが欠かせません。天然歯がどこまで白くなるかは元の歯の状態によって個人差があるため、目標ラインを事前に共有しておくことで、施術後の仕上がりに対して安心して臨むことができます。
もう一つの方法は、まずホワイトニングで天然歯を理想の白さに整え、その後にその白さに合わせた新しい差し歯を作製するというものです。この「順番」がポイントです。
「自分の歯をできるだけ白くしたい」「差し歯も天然歯に合わせてきれいにしたい」という方に向いています。
特に、保険適用のレジン(プラスチック)素材の差し歯は、経年とともに吸水・変色しやすい特性を持っています。もともと天然歯との色の調和が取りにくいことも多く、審美性に限界があります。「なんとなく差し歯だけ人工物っぽく見える」と感じている場合、この素材の特性が原因であることも少なくありません。
そのようなケースでは、ホワイトニングで天然歯を理想の白さに整えたうえで、セラミックやジルコニアなどの変色しにくい素材で差し歯を作り直すことで、周囲の歯ときわめて自然に馴染んだ仕上がりが実現できます。ホワイトニング完了後1〜2週間ほど待って色が安定してから、その色調に合わせて最終的な補綴物を製作するのが一般的な流れです。
「差し歯をきれいにしたいだけでなく、前歯全体の印象を変えたい」という方には、審美補綴というアプローチがあります。
審美補綴とは、前歯の見た目を総合的に整える治療の総称です。差し歯の有無にかかわらず、ホワイトニング後の理想の白さに合わせた補綴物を製作することで、口元全体に調和のとれた美しさをつくることができます。具体的な方法は歯の状態によって異なります。代表的な3つを以下にご紹介します。
歯の表面をごく薄く削り、セラミック製の薄いシェルを貼り付ける方法です。歯を大きく削らずに済むため歯への負担が少なく、高い審美性と透明感を持つ仕上がりが得られます。ホワイトニング後の白さに合わせてオーダーメイドで製作できるため、天然歯との色調を細かく統一することが可能です。
既存の差し歯をセラミックやジルコニアのクラウンに交換する方法です。色の再現性が高く、変色しにくいため長期間にわたって審美性を保ちやすい素材です。特にジルコニアは強度と白さを兼ね備え、前歯にも適しています。ホワイトニング後の白さに合わせて色調を製作できる点で、差し歯の作り直しを検討する際の有力な選択肢となります。
差し歯の部位がもともと歯を欠損しており、人工歯根からの治療が必要な場合はインプラントという選択肢があります。人工歯根の上に装着するクラウンの色をホワイトニング後の天然歯の色に統一して製作することで、口元全体に一体感のある仕上がりをつくることができます。根管治療(歯を残す)・インプラント(歯を作る)に強みを持つ当院だからこそ、ホワイトニングと組み合わせた総合的な口元の改善をトータルでご提案することが可能です。

「差し歯があっても前歯をきれいにしたい」というご希望をお持ちの方は多く、当院でも前歯の審美補綴に関わる症例を数多く手がけてきました。そのなかでよくいただくのが、「せっかく前歯をきれいにするなら、口元全体の審美性も高めたい」というご相談です。
こうした方に当院がご提案しているのは、ホワイトニングと補綴治療を連動させた段階的な治療の進め方です。正しい順番で進めることで、周囲の歯と自然に調和した、完成度の高い仕上がりが実現します。以下にそのステップをご紹介します。
ホワイトニングを始めながら、並行して差し歯(補綴)部位の治療を進めていきます。補綴治療には診査・型取り・製作など複数のステップが伴いますが、ホワイトニングの期間中もその準備を進めることができるため、治療全体が停滞することなくスムーズに動き続けます。
「ホワイトニングが終わってから補綴を考えよう」と後回しにしてしまうと、施術後に改めて計画を立て直す手間が生じます。最初から両方を見据えた計画を立てることで、治療全体の期間が短縮されるとともに、一貫した審美的な仕上がりを目指しやすくなります。
ホワイトニングの施術期間中は、差し歯の最終的な色を決定しません。天然歯の白さが変化している最中に補綴物の色を合わせてしまうと、ホワイトニングが完了した後で色のバランスがずれてしまう可能性があるためです。
この期間中は、仮歯で差し歯部位の見た目を一時的に整えておきます。仮歯の段階では形・サイズ・全体のバランスを確認することができ、最終的な補綴物をつくる前に「こういう印象にしたい」というご希望をすり合わせる機会にもなります。
「仮の状態でしばらく過ごすのは不安」と思われる方もいますが、見た目を整えた状態で日常生活を送っていただきながら最終仕上がりのイメージを固めていただけるため、むしろ安心感につながるとおっしゃる方が多くいらっしゃいます。
ホワイトニングが完了したら、色が安定するまで1〜2週間ほど待ちます。この期間を経ることで、天然歯の白さが定着した状態を正確に把握できます。
その白さに合わせて、最終的な補綴物(セラミッククラウン・ラミネートベニア・インプラント上部構造など)を製作・装着します。天然歯の白さと補綴物の白さが精密に合わせられることで、口元全体に違和感のない、自然で調和のとれた仕上がりが実現します。
このステップを丁寧に踏むことで、「差し歯だけ浮いて見える」という状態を防ぎ、前歯全体が一体として美しく見える口元をつくることができます。

差し歯が黄ばんできた・変色してきたと感じたとき、「なんとか早く対処したい」と思うのは自然なことです。ただし、差し歯に対してできることとできないことには明確な違いがあります。状況に応じた正しい対処を知っておくことが、差し歯を長くきれいに保つことにもつながります。
コーヒー・紅茶・赤ワイン・タバコといった着色源による表面のステイン(着色汚れ)が差し歯に付着している場合、歯科医院でのクリーニングによって除去できることがあります。専用の機器を使って差し歯の表面を傷めずに汚れを取り除くことで、もとの色調に近い状態を取り戻せる場合があります。
一方で、素材自体の経年劣化や内部からの変色は、クリーニングでは対処できません。「クリーニングをしても色が戻らない」と感じる場合は、差し歯の素材そのものが変色している可能性があります。この場合は差し歯の作り直しを検討する必要があります。クリーニングで対応できるのは「表面の汚れ」に限られるということを、まず確認することが大切です。
「市販のホワイトニング歯磨き粉なら差し歯にも効果があるのでは」と思われる方もいますが、差し歯の素材そのものを白くする効果は市販品には期待できません。表面の軽い汚れへの補助的な効果はありますが、それはホワイトニングとは異なる作用です。
また、研磨剤の粒子が粗い製品を使用すると、差し歯の表面に細かな傷がつき、かえって汚れが付着しやすくなることがあります。差し歯のケアには、研磨剤が控えめでフッ素配合の歯磨き粉を選び、やさしくブラッシングすることが適しています。
歯のマニキュアは差し歯を一時的に白く見せる方法として利用されることがありますが、持続期間が1〜3か月程度と短く、根本的な解決にはなりません。特別なイベント前に一時的に整えたい場面での活用は考えられますが、長期的には差し歯の状態そのものを改善することを検討することが必要です。
保険適用の差し歯に使われるレジン素材は吸水性を持つため、使用年数とともに着色が内部にまで蓄積し、黄ばみや変色が目立ちやすくなります。「昔よりも差し歯が黄色くなってきた気がする」「最初はきれいだったのに、最近浮いて見える」という変化は、レジン素材の経年変化によるものであることが多いです。
このような場合、クリーニングや市販品での対処には限界があります。変色の原因が素材の劣化にある以上、差し歯を作り直すことが根本的な解決になります。この機会にセラミックやジルコニアへの移行を検討することで、変色しにくく審美性の高い状態を長期間保ちやすくなります。

差し歯のある方がホワイトニングを検討されるとき、「施術を受けて本当に大丈夫なのか」「長い期間、続けていけるのか」という不安を抱えていることが少なくありません。当院のホワイトニングには、そうした不安を解消するための特徴があります。
一般的なホワイトニングでは、施術後24〜48時間は色素の強い食品や飲み物を控えるよう指示されることがあります。コーヒー・赤ワイン・カレーといった食事を我慢し続けることは、長期間の治療を継続するうえで心理的な負担になることがあります。
当院のホワイトニングは、施術後の食事制限がありません。施術を終えたその日から、普段通りの食事をお楽しみいただけます。
差し歯のある方の場合、ホワイトニングと並行して補綴の治療計画を進めるため、施術期間が一定の長さに及ぶことがあります。その間も食事に気を遣わずに過ごせることは、当院のホワイトニングを選んでいただく大きな理由のひとつになっています。
「ホワイトニングは歯が沁みると聞いた」「痛みが出るのが怖くて踏み出せない」という声は、ホワイトニングを迷われている方からよくいただきます。一般的なホワイトニングでは、施術中や施術後に一時的な知覚過敏が生じることがあります。
当院では、沁みや痛みが出にくい薬剤と施術手法を採用しています。「怖くてずっと迷っていた」という方からも、「思ったより全然平気だった」とおっしゃっていただくことが多いです。
差し歯と天然歯が混在するお口の場合、天然歯の状態にはとくに丁寧に配慮する必要があります。痛みが出にくい施術を選ぶことは、安心して継続するうえで重要な条件になります。
当院のホワイトニングは、白くするだけでなく歯を「強くする」ことを大切にしています。
ホワイトニング後には、フッ素塗布を実施します。ホワイトニング薬剤によって一時的に脱灰(歯の表面が弱まった状態)しやすくなった歯に対してフッ素を塗布することで、再石灰化を促進し、歯質の強化を図ります。
具体的には、歯の主成分であるハイドロキシアパタイトとフッ素が結合することでフルオロアパタイトという物質に変化します。フルオロアパタイトはもともとのハイドロキシアパタイトよりも耐酸性が高く、虫歯になりにくい強い歯質をつくることができます。
さらに、ホワイトニングに使用する過酸化水素・過酸化尿素には、虫歯菌・歯周病菌に対する抗菌作用があることも知られています。「白くなる」という効果に加えて、口腔内の細菌環境にも働きかけるという点で、単なる審美施術を超えた予防的な意味合いがあります。
根管治療(歯を残す)・インプラント(歯を作る)に強みを持つ当院だからこそ、ホワイトニングにおいても「見た目を整えるだけ」ではなく、歯を守ることを一貫した姿勢で大切にしています。差し歯のある方のホワイトニングについて、詳しくはホワイトニングページをご覧ください。

差し歯はホワイトニングで白くすることができません。これは素材の特性によるものであり、どのような製品や施術でも変えられない事実です。
ただし、「差し歯がある=きれいな口元を諦める」ということには、なりません。差し歯の色を基準に周囲の天然歯をホワイトニングで合わせる方法、ホワイトニング後に差し歯を新製する方法、ラミネートベニア・セラミック・インプラントを組み合わせた審美補綴として前歯全体を整える方法。いずれも、正しい順番と計画のもとで進めることで、周囲の歯と調和した自然で美しい口元をつくることができます。
大切なのは、自分の口腔内の状態をしっかりと確認したうえで、歯科医師とともに計画を立てることです。「ホワイトニングをしたいけど差し歯があって……」と感じているその悩みは、カウンセリングで整理することができます。まずはお気軽にご相談ください。
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福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
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