26/09/08
神経のない歯が痛い原因とは?根管治療で残せる歯・インプラントに移行すべき歯を奈良の専門医が解説
「神経を抜いたはずなのに、なぜか歯が痛い」「もしかして抜歯になるの?」
そんな不安を抱えて検索されている方は少なくありません。
神経のない歯に痛みが出る原因は一つではなく、根管内の感染の再発・歯根破折・歯根膜炎など、状態によって大きく異なります。そして重要なのは、原因によって「まだ歯を残せるかどうか」がまったく変わるという点です。
本記事では、神経のない歯が痛む主な原因を整理した上で、根管治療(精密根管治療・歯根端切除術・意図的再植術)で歯を残せる可能性があるケースと、保存が難しく抜歯・インプラントへの移行を検討すべきケースについて、奈良市・大和西大寺でインプラント専門院を運営するLOHASデンタルクリニック院長の福居が詳しく解説します。

歯に痛みを感じるには2つのパターンがあります。
ひとつ目は歯の神経(歯髄)で感じる痛み、二つ目が歯の周囲の神経に痛みを感じるパターンです。
ひとつ目の歯髄で感じる痛みの典型例が知覚過敏や虫歯の痛みになります。こちらは歯の神経を抜く抜髄処置により痛みを感じなくなります。
つまり、「神経を抜いたのにまだ痛い」という場合は”歯の神経”の痛みではなくて、歯の周囲の神経で痛みを感じていることになります。この場合には様々な原因が考えられ原因の特定が必要になります。
このコラムでは歯の周囲の神経で痛みを感じる場合の原因がどこにあるのか細かく解説していきます。
虫歯などが原因で歯の歯髄に炎症が及んでしまった場合、その炎症が可逆的であれば適切に虫歯の処置をすることで痛みは改善します。
しかし、炎症が強く進んでしまった場合には歯の神経を取らなければ痛みがなくならないこともあります。この処置を”抜髄”とよび、”根管治療”と呼ぶ治療を施していきます。
この抜髄処置は簡単に説明すると「歯の中の神経・血管が入っている部屋(根管内)を清掃・消毒し、薬剤で封鎖する治療」になります。
ただ、歯の形態は歯種によって様々で、前歯や奥歯で難易度は全く変わります。
また、元々の虫歯の大きさや、歯の神経をとる処置をするために歯を大きく削る必要が出てくるため、神経の処置を受けた歯は強度が弱くなってしまいます。また、歯の神経を抜くことにより歯に栄養が届かなくなってしまい、強度が低下する可能性もあります。
歯は骨と直接繋がっているのではなく、歯根膜と呼ばれるクッションのような繊維を介して繋がっています。この歯根膜には神経が豊富に存在し、過剰な力が歯に加わることにより、この歯根膜に炎症が起きて強い痛みを引き起こします。
歯が揺れたりしているわけではないのに「叩くと痛い」「噛むと鈍痛がある」という症状がある場合はこの”歯根膜炎”が起きている可能性があります。
痛みが治まったことで治ったと思う方もいらっしゃいますが、これは勘違いです。
これは、体の免疫システムと細菌の力関係によって痛みが一時的に落ち着いているだけで、根管内や根の周囲に残った細菌が勝手になくなることはありません。
ストレスや寝不足、風邪などで体調を崩し免疫力が一時的に低下すると、抑え込まれていた細菌が再び活発になり、炎症が強くなって痛みや腫れとして現れます。
体調が良く免疫力が保たれている時期は、細菌の活動が抑えられるため痛みを感じにくくなります。しかしこれは『治った』のではなく、原因菌が歯の中や根の周囲に留まったままで、免疫力とのせめぎ合いが続いているだけの状態です。
結局は治療をしない限り原因がなくなっていないため、今後も痛みを繰り返す可能性があるため、繰り返す痛みを避けるためには、一度しっかりと治療を行う必要があります。

「神経のない歯」が痛む原因には、大きく分けて4つのパターンがあります。それぞれの原因について細かく解説していきます。
今お痛みを感じている方はどの症状がご自身に当てはまりそうかを確認しながらご覧ください。
まず神経のない歯が痛む原因として最も多いパターンが「根尖性歯周炎」になります。
上記でも述べたように歯の形は人によって様々で、根管治療もその歯によって難易度は異なります。
残念ながら歯の神経の処置が不十分でその場所に感染が起きた場合、歯の中で起こった感染が、根の先端の出口から出てしまい、根の先端に膿が溜まってしまう病気のことを「根尖性歯周炎」と呼びます。
「レントゲンに黒い影が映っている」「噛んだときにズキッとする」「歯茎にニキビのような膿の出口がある」などの症状があるとこの病気を疑います。
根管(歯の神経の部屋)の形は非常に複雑で、前歯であれば1本ですが、奥歯になると2〜4本に枝分かれしており、すべての根管を完全に清掃・封鎖することは非常に難しい治療になります。
また、この根管治療の際に唾液などに含まれるバイ菌が侵入してしまうとダメなので、できる限り無菌的に行う必要があります。
根管治療が不十分になってしまうと「死腔」ができてしまい、その部分から細菌が増殖し、数年後に根尖性歯周炎として発症してしまうため、初回の根管治療をできる限り精密に行うことが鍵になります。
当院では根管治療の専門医が歯科用の顕微鏡であるマイクロスコープを用いて根管治療を行っておりますので、歯の痛みにお悩みの患者様はぜひ一度ご覧ください。
この”根尖性歯周炎”を診断するためにはレントゲンを撮影することになります。
根尖部の骨が溶けて膿が溜まった部位(根尖病巣)がレントゲンでは「黒い影」として映ります。
ただし、奥歯のように根が3〜4股に分かれている場合には、一般的なレントゲンでは診断できないこともあるので、三次元的なCT撮影が必要になることも多いです。
つまり症状がなかったとしても、定期的にレントゲンを撮影し、異常が起きていないかの確認をすることがとても大切になります。
神経を抜いた歯は歯を大きく削られてしまっていることが多いため、歯の剛性が弱くなります。
また、神経がなくなり栄養が届かなくなるため歯が脆くなり、噛む力によって根にヒビ(歯根破折)が入りやすくなるとも言われています。
根の破折部分から細菌が侵入し、周りの組織に炎症や感染を起こすため、歯茎の腫れや部分的に深い歯周ポケットができてしまいます。
また、噛んだときに歯の破折部位がズレるような力が加わるため、鋭い痛みを引き起こします。
根尖性歯周炎の痛みとの違いとして、「噛んだ時だけ強く痛む」「歯が動いている感じがする」などの症状がある時は歯の破折を疑うため、早めのクリニックの受診をお勧めします。
この歯根破折は歯の神経が生きている歯には起こることが少なく、根管治療済みの歯に多発します。破折が確認された場合には、残念ながら歯を保存することを諦めざるを得ない大きな判断基準の一つになります。
歯の神経を抜くためには歯(特に歯冠)を大きく削る必要があります。特に、辺縁隆線と呼ばれる”歯の枠組み”が既に削られてしまっていることが多いため、歯の剛性が弱くなります。
また虫歯が大きかった場合には歯の内部も削る必要があるため、残存する歯の厚みはどんどん薄くなります。特に根管治療を複数回受けている場合はその度に歯を削られている可能性が高いため、割れやすくなってしまいます。
この患者様は左下奥歯の痛みで来院されました。他院で何度か根管治療と外科処置を受けるも腫れが改善せず、不安になって来院されました。
当院でCT、レントゲン、歯周病検査(部分的に深い歯周ポケット)から総合的に歯根は破折と診断しました。



保存は難しいことをCT等を見ながら説明し、ご納得いただき抜歯になりました。
この方は元々の噛み合わせに歯の破折の原因があったため、矯正治療と抜歯になった部位のインプラント治療になりました。
歯が折れていることに関して、確定できる根拠がなかったのですが、レントゲンやCT、歯周ポケットなどの総合的な診断でほぼ折れていることが診断できたため、納得していただくことができました。

| 年代・性別 | 50代 男性 |
| 治療内容 | 今後、矯正治療およびインプラント治療を予定 |
| 治療費用 | 矯正治療およびインプラント治療1本(170万円)
※その他の歯の治療は含みません |
| 治療のリスク・副作用 | 治療後に一時的な痛みや違和感が出ることがあります。また、歯の状態によっては追加の処置が必要となる場合があります。 |
歯根破折は破折する方向によって、垂直性歯根破折と水平性歯根破折に分けられます。
この破折する方向によっては通常のレントゲンでは確認が難しく、CTや直接目視で確認しないと破折しているかどうかを見極められないこともあります。
直接目視で確認する場合には、既存の被せ物を一度外して、歯の内部から確認していく必要があります。
上記でもご説明した通り、歯と骨を結びクッションの役割を果たしている「歯根膜」にも、過剰な力が加わると炎症が起きて”歯根膜炎”という病気になることがあります。
例えば、就寝中の食いしばりや歯ぎしりが原因で、特定の歯に過剰な力が加わり続けたりすると、歯根膜に慢性的な炎症が起きて噛むと痛みを感じてしまいます。
「特に朝起きたときに歯が痛む」「疲れているときに歯が浮く感じがする」などといった症状が出ることが多く、食いしばりとの関連が強いとされています。
就寝中に無意識に歯を強くかみしめる(食いしばり)をすると、通常の食事の時の咬合力の10倍以上の力が歯や顎にかかると言われています。つまり、神経のない歯にも歯根膜に繰り返し過大な力が加わってしまい、歯根膜の炎症が慢性化してしまいます。
また日中の食いしばり(運転中やデスクワーク中)にもご自身の体重と同じくらいの力が加わると言われており、これも歯根膜炎の原因になります。
これらの対処法として、夜間に関してはナイトガードと呼ばれるマウスピースの使用や歯科医院での咬合調整が必要になります。
また日中に食いしばりをしてしまう方にも薄いマウスピースの装着をお勧めすることもあります。
歯の噛み合わせの調整が必要な方もいますので、お痛みが続く場合はぜひ歯科医院でご相談ください。
最後に痛みが出る可能性のある病気は、その歯に歯周病が進行しているという可能性です。
歯の神経を抜いたとしても、歯周病が進行し周りの骨が破壊されて、歯が揺れ始めると痛みを伴います。
その部分だけに局所的に歯周病が進行するには、何かしらの原因があることが多いため、歯の揺れを感じることがあれば、早めに歯科医院を受診することをお勧めします。
上記で説明したように歯軋りや食いしばり、歯の破折が関連していることもあるので要注意です。

歯の神経の残っている歯が痛い場合には、虫歯や知覚過敏などをまず疑います。そして、神経の残っている歯が折れることは比較的稀なので、大事にならないことが多いです。
しかし、歯の神経のない歯が痛いというのは非常に危険な信号です。
一番に私たちが疑うのは”歯の破折”です。歯が折れていると、抜歯をしなければならないことが多いため、早急にかかりつけの歯科医院で診断を受ける必要があります。
まずは歯科医院で痛みの原因と、なぜそうなってしまったか診断を受ける必要があります。
「痛み」の原因が歯の中の再感染なのかもしくは歯根破折なのか、はたまた噛み合わせの力が強すぎることが原因なのかによって、治療の選択肢がまったく異なります。
診断を受けずに、ご自身の判断で放置することで歯の周りの感染が周囲の骨を溶かしたり、隣接する歯への影響を及ぼす可能性があり、その後のインプラント治療の難度が高くなってしまう可能性があります。
まずかかりつけ歯科を受診して、痛みの原因を確認することが非常に重要になります。
歯を残せるかどうかを判断する上で、当院がまず確認するのは歯根破折の有無です。破折さえなければ、多くの場合は根管治療によって歯を残せる可能性が十分にあります。
歯の破折がなく、根管内の再感染・不完全な根管充填が原因の場合は、”再根管治療”を行うことで改善する場合が多いです。
この”再根管治療”ですが、実はかなり難易度の高い治療になります。おそらくみなさんの中にも、何度も根管治療を受けたけど、良くならなかった方という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか?
特に奥歯の再根管治療の成功率は約40〜70%程度と言われており、そのため歯科用顕微鏡(マイクロスコープ)やラバーダム防湿を用いた「精密根管治療」や追加の外科処置である歯根端切除術が必要になると言われております。
当院ではまず痛みがある歯のレントゲン、CT、歯周病検査を行い「歯根破折がないか」を徹底的に確認をします。上記で述べたように歯の破折はレントゲンでは映らないことが多く、総合的に判断することが大半です。
つまり
を確認して破折の可能性がないかを徹底的に確認していきます。
そして、これらの検査では破折が見つからなければ、実際に歯の治療に入っていきます。
クラウンや歯の土台、虫歯をマイクロスコープを使いながら丁寧に除去していき、歯の内部から歯の破折がないか、健康な歯の厚みに問題がないかなどを確認していきます。
以前の根管治療が不完全だった場合や、治療後に再感染が起きた場合に「再根管治療」を行います。
まずは古い充填材・歯の内面の虫歯を丁寧に除去して再清掃・再封鎖を行うことを目的とします。
前歯のように歯の中の構造がシンプルな場合は比較的難易度が低いですが、奥歯に向かうに従って歯の中の構造は非常に複雑になり、また患者さんの口を開けられる量などにも個人差があるため難易度は非常に高くなります。
また、そもそもの細菌の原因は唾液に含まれる虫歯の原因菌などであるため、ラバーダム防湿をしない治療は言語道断になります。
当院では2名の歯内療法専門医が在籍しており、ラバーダム防湿・マイクロスコープを用いた精密な根管治療を行っています。
インプラント専門クリニックだからこそ、天然歯の大切さは理解しているため、1本でも天然歯が残せるように治療を行なっております。
上記でも述べたように歯の中の構造は非常に複雑です。
また、年齢を追うごとに歯の中の根管は狭くなっていく傾向にあり、根管治療の際の器具の到達が難しくなります。
また、器具が到達してきちんと洗浄を行なったとしても、根の先から歯の外へ漏れ出てしまった膿が治癒しないこともあります。
このように精密根管治療を行っても根の先の膿が治まらない場合、このまま放置するわけにもいかないため、歯の中からのアプローチではなく、直接膿の溜まっている部分を除去する外科的手術になります。
手術方法はシンプルで、歯茎を切開して膿が溜まっている部位の骨に小さな穴を開け、感染の原因となっている根の先端部分を切断し、溜まっている膿と同時に除去する治療法になります。
この治療法により根管治療の再治療でも届かない部分の感染を外側から除去することができ、痛みの原因を取り除くことができます。
意図的再植術は歯根端切除術でのアプローチが難しい位置に病巣がある場合に行う術式になります。
上記で説明したように、歯根端切除術は歯茎を切開してアプローチをするのですが、その部位に危険な神経が走行していたり、手術をする際の器具の到達が困難な部位に関しては、この意図的再植術を用いることもあります。
術式は、一度抜歯して口外で丁寧に根の処置を行い、元の歯のあった部位に戻す(再植する)方法になります。
難易度の高い術式であり、残っている歯の状態や根の形・破折の有無などの一定の条件を満たす必要がありますが、症例が当てはまれば非常に良い治療法になります。
当院でも条件に当てはまる方には積極的に行う術式になります。
治療対象の歯を保存することよりも、抜歯を選択した方が患者様の長期的な口腔内の環境を安定させる上でメリットがある場合は、抜歯をご提案することがあります。
私が治療計画を立てる上で重要視しているのは
・対象歯の感染をきちんとコントロールできるか
・対象歯に再度クラウンを被せて、安定させることができるか
になります。
感染のコントロールができない場合、その感染は拡大していく可能性があり、その結果歯だけでなく、周囲の骨や歯茎などの組織も失ってしまう可能性があります。
インプラント治療を行う際には、その感染によって失った組織を再建する必要があり、手術の難易度は上がり、手術にかかる費用や期間も長くなる傾向にあります。
そのため、私たちが最初に守ろうとするものは”歯”ですが、歯の保存が難しいと判断した際には次に”骨”を守る必要があります。特にインプラント治療を検討している患者さんにおいては大切なことです。
痛みが落ち着いているからといって放置してしまうと、感染はゆっくりと進行し、周囲の骨が失われ続けてしまいます。保存が難しいと判断した場合には、早めに抜歯を行うことが、結果的に残った骨や周囲の歯を守ることにつながります。
次に感染はコントロールできたとしても再度クラウンを被せることが難しいと判断した場合です。
具体的には根が既に短くなってしまっている、もしくは歯の壁が薄くなりすぎていて、これ以上触ることができない場合には、無理に被せ物を入れてもすぐに脱離してしまうので、抜歯をご提案することがあります。
一時的にその部分にクラウンをセットすることができても、どのくらい安定してくれるか・すぐに割れてしまう可能性も高く、残念ながらいずれ抜歯をしなければならない時が来ます。
そのため、その歯にクラウンを入れた時の予知性(レストラアビリティーと呼びます)の低い歯に関しては要相談になります。
>>抜歯をした方がいいケースがある?抜歯を検討する歯の基準を解説します
歯根破折が根の縦方向に入っている場合、破折部分から繰り返し細菌が侵入してしまうため、根管治療や歯根端切除術などを行なっても、完全に感染を排除することが困難で、抜歯が必要な場合が多いです。
特に根の奥まで及ぶ深い縦亀裂は歯の保存を諦める判断基準の一つになります。
当院では私と2人の歯内療法専門医で1人の症例に対してディスカッションをして歯の保存については決定しますが、深い縦破折は歯を残すことが難しいです。
根尖性歯周炎や歯根破折を放置すると、徐々に感染が顎骨に波及し続け、骨が失われていきます。
骨の欠損が大きくなるほど、インプラント移行時に骨造成(GBR)などの追加処置が必要になり、治療期間・費用・身体的負担が全て増えてしまいます。
「無症状だから…」といって放置していると気がつくと大きく骨が溶けてしまっていることはよくあることなので、違和感がある時には早めの受診が必須になります。

歯の抜歯が必要であることにご納得いただけた場合、抜歯後に「入れ歯・ブリッジ・インプラント」から次の治療法を選択しなければなりません。
それぞれの治療にメリットとデメリットがありますが、インプラント(人工歯根)は隣の歯を削らずに済み、ご自身の残っている歯に過剰な負担をかけることがないためメリットはあります。
歯を抜いてから考えるという方もいらっしゃいますが、私はできれば抜歯前に次の治療の方針を決めておくことをお勧めしております。
なぜなら、歯のコンディションによっては歯を抜く時にインプラントを埋入する「抜歯即時埋入」や、抜歯後の骨の吸収を防ぐ「歯槽堤保存術」など、次の治療を容易にする手を打つことができるからです。
抜歯が必要な場合でも、抜歯した当日にインプラントの埋入ができるケースがあります。
この治療法のメリットは、骨の吸収を最小限に抑えられる・治療期間を短縮できる・仮歯をその場で入れられる場合もあるという点になります。
特に「抜歯即時埋入」は治療期間を大幅に減らすだけでなく、手術回数も減らすことができるため患者様にとってのメリットは多い治療法です。
ただし、抜歯する歯に重度の感染がある場合や骨が大きく溶けている場合は適応外になることもあり、無理をすると非常に大変になるので、慎重な判断が求められます。
歯の保存に関しては、それぞれの先生の判断に委ねられるため、個人差があります。
私は次の治療のことまで考えた上で、抜歯のタイミングを考えます。
また当院には2名の根管治療の専門医も在籍しているので、歯の保存ができるかどうかは3名の歯科医師でディスカッションを行います。
患者さんの希望も尊重しながら、まずは歯の保存にチャレンジして、それでも無理な場合はインプラントに切り替えることも可能です。
インプラント専門クリニックではありますが、歯を最大限保存するために、根管治療の専門医も在籍していることで、客観的な診断ができることが当院の強みです。




| 年代・性別 | 50代・女性 |
| 治療内容 | 精密根管治療、セラミック治療 |
| 治療費用 | 総額:66万円(税込)
※根管治療3本、セラミック治療3本 |
| 治療のリスク・副作用 | 治療後に一時的な痛みや違和感が出ることがあります。また、歯の状態によっては追加の処置が必要となる場合があります。 |
患者様は50代の女性で、約10年前に根管治療をしてクラウンを入れた前歯が最近痛みが出るようになったとのことでかかりつけの歯科医院で相談されたそうです。
ただ、その医院ではレントゲンなどを撮影しても原因が分からず、ヒビが入っている可能性があるからとのことで、インプラント治療を検討して当院を紹介で受診されました。
当院でも精密検査を行い、確かに根の先端に感染を起こしているレントゲン像を確認しました。
しかし、当院でも明らかにヒビが入っているという根拠は見つからず、被せ物を外してみて歯の内部からマイクロスコープで根管内を確認することにしました。
万が一、ヒビが見つかった際にはインプラント治療が必要になる可能性をきちんと説明した上、マイクロスコープで精密根管治療を行い、歯にヒビが入っていないことが確認されたため、きちんと根管治療を行い、仮歯を入れて経過を見ていただきました。
そうすると徐々に症状は改善し、治療前に感じていた痛みが無くなったとのことでした。レントゲンでも改善していることが確認できたため、前歯にセラミックの歯をセットし治療を終了しました。
痛みが引かない、もしくは感染が治らないということであれば歯根端切除術なども必要であったので、歯の保存ができて、外科処置も避けることができ、審美的な結果になったということで非常に喜んでいただけました。

当院LOHASデンタルクリニックは、奈良市・大和西大寺に位置するインプラント専門院です。
ただし「歯を抜いてインプラントにする」ことだけを推奨する医院ではありません。
まず歯を残せる可能性を最大限に探ること、そしてどうしても保存が難しい場合はインプラント治療へ移行するという方針をとっています。
当院では、インプラント医(院長・福居)に加え、非常勤の歯内療法専門医(根管治療の専門医)が2名在籍しています。
「神経のない歯が痛い」というケースに対し、まず根管治療の観点から歯を残せる可能性を専門的に診断した上で、保存が難しいと判断された場合にはインプラント治療を提案します。
どちらの治療に偏ることなく、客観的な診断が行えることが当院の強みです。
インプラントも無敵の治療ではありません。そして、インプラント専門クリニックだからこそ、天然の歯の大切さは痛いほど分かっています。
ですので、患者様の年齢や状態に合わせて、残せる歯は残しながら、予知性の悪い歯は適切に判断してインプラントに置き換えていくことで、長期的に安定した口腔内を提供することが、私たちLOHASデンタルクリニックの使命だと思っています。
今までに治療をさせていただいた患者様の中でも、痛くて不安だった歯を抜歯してインプラントに置き換えて安心して食事ができると喜んでくださる患者様から、適切な根管治療で歯の抜歯を避けることができて喜んでくださった患者様まで様々な方が当院には来てくださいます。
今でも定期的にメインテナンスに来ていただき、インプラントも天然歯も壊れないようにきちんとフォローアップをさせていただいています。
当院で一番心掛けていることは患者様に納得していただいて治療を受けていただくということです。
かかりつけの歯科医院では説明不足で本当に抜歯が必要なのか、インプラントが正しい治療法なのかが判断ができず不安になり、みなさん来院されます。
当院では私の一存で抜歯をすることは絶対ないため、歯を抜かなければならない状態であれば、レントゲンや写真で納得していただけるまでご説明をして納得いただけるように努めます。
納得して抜歯を受けていただけると、それ以降の治療においても信頼関係を築くことができるので、皆様にスムーズに治療を受けていただくことができます。

神経のない歯が痛む原因は、根尖性歯周炎や歯根破折、歯根膜炎など一つではなく、原因によって治療の方向性はまったく異なります。歯を残せるかどうかの分かれ目になるのは、レントゲンやCTによる精密な診断で原因を正確に特定できるかどうかです。LOHASデンタルクリニックでは、根管治療の専門医とインプラント専門医、両方の視点から診断・治療プランをご提案できます。
「抜歯しかないと言われた」方も、「痛みを我慢して放置してしまっていた」方も、まずは一度当院へご相談ください。
LOHASデンタルクリニック 院長
福居 希(医学博士/日本口腔外科学会 認定医)
2010年に朝日大学歯学部を卒業後、大阪医科大学附属病院 口腔外科学教室に入局。大学病院・総合病院で口腔外科医として研鑽を積み、2014年にはアメリカ・カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)インプラント科へ留学しました。2017年に大阪医科大学大学院にて医学博士を取得し、顎骨の再生治療を研究テーマとしています。中国中央病院 歯科口腔外科 医長、北大阪ほうせんか病院 歯科口腔外科 部長を経て、2023年に地元・奈良西大寺にてLOHASデンタルクリニックを開業しました。現在は自院での診療に加え、他院からのご依頼による出張手術を担当。スタディーグループ「Surgical Implant Institute」を主宰し、若手歯科医師へインプラント外科の指導も行っています。
本記事は、LOHASデンタルクリニック院長・福居 希(医学博士/日本口腔外科学会 認定医)が執筆・監修しています。記事の内容は診療ガイドラインや学会発表等をもとに作成していますが、症状や適切な治療方針には個人差があります。気になる症状がある場合は、自己判断せず歯科医院にご相談ください。
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