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コラム

抜歯をした方がいいケースがある?抜歯を検討する歯の基準を解説します

以前にコラムのシリーズとして『抜歯と診断された歯を残すための裏技』として6本のコラムを掲載しました。

コラムを読んでくださり来院されて、実際に抜歯を回避することができインプラントをせずに済んだ患者様もいらっしゃいます。

しかし、残念ながら当院でも歯を残すことが難しく抜歯を検討しなければならない患者様も中にはいらっしゃいます。

それでは、何を基準に歯を残すことが難しいのか、抜歯を検討しなければならないのか、この点が不明確では患者様にご説明することもできませんし、納得していただくこともできません。

しかし、実際には歯科医師がなんとなく個人的な経験などを総合して抜歯と判断しているため、その歯科医師の技術やレベルによって抜歯の診断基準は異なります。

そこで、今日のコラムでは当院での抜歯を決定する際の基準をご説明できればと思います。

抜歯に至る原因について

そもそも抜歯が必要になる原因とは何でしょうか?こちらの画像をご覧いただくと、割合が多いものから順に、以下のようになっています。

  • 1位:歯周病
  • 2位:う蝕
  • 3位:破折

1位の歯周病は日本人の国民病とも言われており、一説には成人の8割前後が歯周病に罹患していると言われています。

2位のう蝕は、いわゆる『虫歯』のことを指しています。

3位の破折は、歯軋りや食いしばり、外傷などさまざまな理由で歯が折れたり欠けてしまったりした状態です。

1位と2位を合計すると約65%が、歯周病/う蝕(虫歯)を原因として抜歯に至っていることになります。逆に言えば、歯周病や虫歯に注意しておくことで、抜歯に至る原因の大半はケアできるということです。歯を失う原因について、より詳しくは以下のページをご覧ください。

>>歯を失う原因と予防法、歯を失った際の治療法をご紹介

抜歯をするべき歯の基準とは?

抜歯の基準については欧米などでもさまざまな学会や論文で議論されています。

しかし、日本の歯科医療は国民健康保険を基準とした治療が大半を占めるため、世界の基準と若干はズレてしまうところがあるかもしれません。

当院ではできる限り学会などが提示する抜歯基準に合わせて診断するようにしております。

歯周病が原因の場合の抜歯の基準

この判定基準は日本歯周病学会から発表されているものであり、歯周病が原因で抜歯を検討する場合はこの基準に準じて治療は進めております。

難しい内容になるので、以下で一つずつ簡単に解説していきます。

1. 歯周治療初期における抜歯の判断基準

つまり歯周病治療をスタートする段階で抜歯をするかを判断する基準です。

1)対症療法を行なっても過度の動揺により痛くて咬めない結果、回避性咀嚼を行なってしまう場合

応急処置をしても歯のグラグラは治らず咬めなくて、反対側で噛むしかない場合のことを示します。

2)十分なデブライドメントができない、あるいは暫間固定ができないほど進行した歯周炎

しっかりと歯石取りができない歯、あるいは一時的な歯と固定(両隣の歯と)もできない場合

3)治療中頻繁に急性膿瘍が生じ、広範囲歯周組織の破壊の原因となる可能性がある場合

歯石取りしている短期間に何度も歯茎に膿が溜まり、周りの歯の歯茎や骨にまで悪影響を起こしている場合

4)どのような治療計画を立案した時にも、利用価値が見出せない場合

どう考えても、その歯を残しておくメリットがない場合

2. 暫間的に保存し、歯周治療後期に抜歯を行うための判断基準

とりあえず最初の治療の期間はその歯を残して、歯周病治療がある程度進んだ段階で抜歯をする場合の判断基準

1)臼歯部咬合高径を維持している場合

→プロビジョナルレストレーションに置き換えられた後に抜歯

その歯が奥歯の噛み合わせの高さを維持するために役立っている場合は、その他の歯を仮歯に置き換えて、噛み合わせの高さが維持された時点で抜歯をする。

2)臼歯部咬合高径を維持しており、かつ隣接領域にインプラントを埋入したあとも機能している場合

→インプラントの上部構造物が装着された後に抜歯

その歯が奥歯の噛み合わせの高さを維持するために役立っていて、その歯の隣にインプラントの埋入手術をした後もその歯が機能している場合は、埋入されたインプラントに被せ物が入った時点で抜歯をする。

3)隣接領域の歯周外科を予定している場合

→予後不良歯は隣接歯の歯周外科の治療と同時に抜歯

長く保たない歯は歯周外科(外科的に深い部分の汚れをとる処置)と同時に抜歯を行う

う蝕(虫歯)が原因の場合の抜歯の基準

虫歯が原因の場合の抜歯の基準は、日本歯科保存学会や日本補綴学会では発表されておりません。

しかし、虫歯が原因で抜歯を検討する場合は虫歯の進行具合のC0〜C4の中でもC4の場合に検討する必要が出てきます。

このC4の時の歯の特徴としては、以下が挙げられます。

  • 歯がボロボロで根の中まで虫歯になってしまっている。
  • 根の先に膿が溜まってしまっている
  • 根が割れてしまっている

虫歯が根の深くまで進行してしまっている場合

まず当院では以前のコラムでお伝えした治療法が適用できるかを検討します。

しかし、これらの方法を駆使しても歯の保存が難しいこともあります。

「歯の挺出法」や「歯冠長延長術」などのデメリットとして歯の頭(歯冠)と根(歯根)のバランスが悪くなってしまう点にあります。

この歯冠歯根比が悪くなってしまい、頭デッカチな歯になってしまうと歯の予後は悪くなると言われています。

歯冠歯根比が1 : 1.5であれば十分なのですが、1 : 1になってしまうとバランスが悪くなってしまうと言われています。

その場合、隣りの歯と繋ぐなどの方法が取れれば良いのですが、単独であれば予後が悪くなるので抜歯を考えなければなりません。

根の先端に膿が溜まっている場合

当院ではこれらの治療法が適用できるかを検討します。

しかし、これらの方法を駆使しても歯の保存が難しいこともあります。

  • 根管治療を行なっても痛みが取れない、膿が出てくるものが止まらない場合
  • 歯根端切除術を行なった場合に、極端に根が短くなってしまい、歯に揺れが出てしまう場合
  • 膿が溜まっている場所が歯の根の先端ではなく、根の側面に穴が空いてしまっている部分に膿が溜まっていて、完全に穴を封鎖ができない場合

このような場合には、やはり抜歯が必要だと判断することになります。

歯の破折が原因の場合の抜歯の基準

歯の破折に関しては水平的・垂直的な破折に大きく分けられます。

水平的な破折

水平的であれば、「歯の挺出法」や「歯冠長延長術」などを組み合わせる事でなんとか抜歯を回避できる可能性があります。

折れた歯の解剖学的な特徴や、歯周病の状態など総合的に診断して保存できるかを診断していきます。

垂直的な破折

垂直的な破折に関しては破折部位に問わず保存が難しい可能性が高いです。また破折線が歯のどの部位まで進行しているかによっても診断は分かれます。

破折部位の診断方法

破折部位の診断は、まずは侵襲の少ない小さなレントゲンやCT画像を用いて行います。

しかし、対象歯に被せ物が入っているとレントゲン画像だけでは診断が難しい場合があります。

その場合には対象歯の歯周ポケットを計測し、破折部位を探ることや、実際に被せ物を外して、歯の中から破折がないかを確認していきます。

その場合には対象歯の歯周ポケットを計測し、破折部位を探ることや、実際に被せ物を外して、歯の中から破折がないかを確認していきます。

ここまで確認を行い、修復できない深い部分にヒビや亀裂が入っている場合は抜歯を検討しなければなりません。

まとめ

このように様々な治療法を駆使しても抜歯が避けられない場合は存在します。

感染している歯を残しておくことで、徐々にその感染は拡大し、周りの骨や歯に悪影響を及ぼします。そのため、患者様は無症状であっても再治療や抜歯を検討しなければならないこともあります。

また、歯を抜いてから時間が経つと患部の骨が減退するため、その後の治療が難しくなります。抜歯を行う前にご相談をいただくことで、患者様の選択肢の幅が広がります。例えば『抜歯即時インプラント』と呼ばれる、抜歯と同時にインプラントを埋入する治療法は、抜歯前にご相談を頂かなければ行えません。

>>抜歯と同時にインプラントが入る『抜歯即時埋入』のメリットやデメリット

もちろん、最終的に歯を抜いて治療をするかの選択は患者様に委ねられますので、私が勝手に歯を抜くことはありません。

歯を残して治療を行うか、抜歯を行うかは患者様の年齢やお口の中の状況によっても左右されます。最終判断をするのは患者様ですが、判断のために必要な情報は歯科医師が診査診断することで、初めて得られます。

もしも抜歯でお悩みの方は1人で悩まずに、無料相談を行っておりますので、お気軽にご相談ください。

監修者情報

福居 希(医学博士、口腔外科認定医)
大阪医科大学口腔外科で口腔外科認定医および医学博士を取得した。またアメリカのカリフォルニア大学(UCLA)のインプラント科へ留学し、インプラント治療を学んだ。
現在はフリーランス外科医として出張手術を行う傍ら、スタディーグループsurgical Implant Instituteを主宰し若手歯科医師を対象にインプラント外科を教える場の提供や講演会などでの発表をおこなっている。

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